青城マネジ、ギャップやべえ【青葉城西】

21話「マジになれ」 ページ21

合宿所につくと、既に部員のご家族の方々が美味しいご飯を用意して待っていた。
食欲をそそられる匂いに思わず喉をごくりと鳴らす。ついでに誰かのお腹からぐう、と音がしている。それにつられて私のお腹も間抜けな音を立てた。


「お、堀田も腹減ったか。お前割と主張激しいんじゃねーの？」


そう言ってケラケラ笑う岩泉さんに「そうみたいです」と返事をする。主張が激しい、強ち間違いじゃない。岩泉さんにつられて私まで笑ってしまった。


夜ご飯は、それはそれは美味しかった。各家庭の味付けの癖とか出るのだろうけれど、自分の家のご飯とはまた違っていて新鮮というか。まあなんだ、とりあえず部員の食べっぷりが凄かった。私もとてもお腹が空いていたのでほとんどかきこむように食べたのだが、それでも全然敵わない。張り合ってるわけじゃないけど。
そんなこんなで時間が過ぎ、お風呂から上がって部屋でのんびりとしていたときの事。国見からラインで「俺らの部屋に集合」と呼び出された。まあ、せっかくの合宿であるし、やることは大体わかる。


楽しまなきゃ損だ、と部屋着用のジャージを羽織る。うきうきした気分なのは、きっと夜だからハイテンションだとか、そういうことじゃない。


︙

「隠れんぼしよ。めっちゃガチの」
「さんせーい」
「やるからには手ェ抜かねえからな」
「ったりまえだわ。俺、ハイダーの松川って呼ばれてたから」
「ハイダーってなんだ？？」
「隠匿者」
「それ使い方合ってんのか？」
「知らね」


正直王様ゲームとかババ抜きとか枕投げ辺りだと思ってた。何故か三年生は乗り気で、それも合宿所の物を壊したりしないことを約束に隠れんぼの許可を監督に取り付けたという。一二年も、「これは本気でガチのやつだ」と察した表情である。こうなった場合、一番最初に見つかった人とかがペナルティだとか、そういった罰ゲームの類のものがあるはずだ。


「じゃあ、七番目に見つかった奴が明日一日溝口くんに嘘つくってことで」


数字が中途半端な上に地味に嫌な罰ゲーム……。
かくして、本気の隠れんぼ〜in 合宿所〜が決行されたのであった。
　
　
　

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