3話「俺と出陣と金田一」 ページ3
「金田一〜」
「はい？ どうしました及川さん」
「今日ちょっと残ってもらえる？ 話があんだけど」
「えっ、わかりました」
準備は整った。今日の鍵当番は堀田さんだ。一緒に帰ろうなんて誘ったら断られることは明白なので、彼女一人で帰る瞬間を捕まえよう。ついでに部員と少しでも距離を縮めるために金田一とも仲良くなってもらえたら及川さん嬉しい。国見ちゃんよりは話しやすいだろうし。
そして部活も終わり、着替えを済ませた頃。
「ッシ、出陣だよ金田一」
「ウス！ ……？？」
「金田一が混乱してるんでやめてもらっていいですか」
そんな国見ちゃんのお小言を聞き流して、校門で待機。すれ違うチームメイト達に「何してんだ」と言われながら待つこと十数分。
「あのー、及川さん、一体どうしたんですか…？」
「金田一はさ、堀田さんと話したことある？」
「堀田さん？ イエあんまり…」
「だよね。少しずつ新一年が部に馴染んでってるのに、あの子だけ歩み寄ろうとしないっていうか。ちょっと心配なんだよね。お節介かもだけど、主将として部内の雰囲気も気にしてるっていうか…まあ、一年の中じゃお前が一番話しやすいかなー？ と思って、協力を仰いだわけ」
納得した顔の金田一は「遅いッスね」と呟く。まあ機敏そうな子ではないしな……むしろその逆というか。
それにしても、未だに信じられない。流石に疑いすぎだろ…と思われても仕方ないくらい疑り深くなってるわけだけど、別人レベルで違うからなあ。
「あ、来ましたよ」
金田一の一言で校舎の方に顔を向けると、スマホを弄りながら歩く堀田さんの姿が。あの子ちょっと国見ちゃんに似てんな…と思ったら隣で「国見に似てる」と言う声が聞こえたので、俺の目はおかしくないのだろう。
「堀田さーん」
そう言ってひらりと手を振ると、ビクッと肩を跳ねさせた。ちらりと周りを確認すると、足早に「お疲れ様です」と通り過ぎようとする。うーん、やっぱり俺らとの溝は深いかな…
慌てて引き止めて、堀田さんを待ってた旨を伝える。彼女は大きく目を開くと、「そうですか」と呟いた。金田一もおずおずと「よ、よう」と片手を上げた。
「一緒に帰ろ」
「えと、お邪魔します」
「堀田さんは俺らと同じ方面だったよな」
「うん、まあ」
よしよし、出だしは順調だ！ 及川さん、頑張っちゃうぞー！
4話「ピアスとストレス」→←2話「本物の後輩かちょっと不安」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 899人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
志織(プロフ) - ヒトさん» ホリミヤいいですよね！ハイキューを全面に押し出しつつ、ホリミヤ成分もそこはかとなく入れ込みたいと思います（笑）コメントありがとうございました！ (2019年12月4日 21時) (
レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト - ホリミヤネタ最高です。 (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3761af80f9 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 八重さん» コメントありがとうございます！ヒロインなら私も金田一かなと思いますが、国見は何となく自己主張強そうなのでああいう感じです（笑）私はギャグセンスがないのでは？と思っていたので、面白かったと言っていただけて何よりです！ (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - 面白すぎてずっと笑ってたら姉に(･∀･)<ｳﾙｾｪェェェエエって言われましたどうしてくれるんですか？(謎) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - いやぁー私思うんすけど、やっぱりヒロインは国見じゃなくて金田一だと思うんですよぉー(笑) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：志織
| 作成日時：2018年4月7日 10時
