17話「足速い、加速綺麗」 ページ17
「あ、お弁当持ってくんの忘れた」
「マジかよ」
「さっさと買ってこい、待ってっから」
「うん。行ってくる」
お昼休み、お弁当がないことに気がついて食堂へと向かう。律儀にも「待っている」と言った二人のために、廊下を走る。パンがいいな、何にしようかと思案していると、「堀田さーん」と声をかけられた。矢巾さんだ。
「こんにちは、矢巾さん」
「ちわ。購買？」
「はい。お弁当忘れちゃって」
「やっちまったな。じゃあこれ、あげる」
ドーゾ、と差し出されたのはうちの購買で一番人気のメロンパン。ハッとして顔をあげると、矢巾さんははにかんで頬をかいている。
「いいんですか？」
「いいのいいの。買いすぎちゃったから家帰って食べようかと思ったけど、メロンパンも堀田さんが消費してくれる方が嬉しいと思うし」
「ありがとうございます…！ いくらでしたっけ？」
「いや、俺の奢り。後輩なら大人しく受け取りなさい！」
えへん、と胸を張った矢巾さんは、私の肩をポンと叩いた。彼、結構後輩の面倒を見るのが好きらしい。二年生の中では矢巾さんと渡さんが特にそうだ。厳しい面もあるが、こういうところでは結構甘やかしてくれたりする。もちろん、私に関しては性別の違いもあるからだろうけど、それを抜きにしてもやっぱり一年生には甘いような気がした。
「ありがとうございます、もらいます」
「いいってこと。金田一達と飯食ってるって言ってたっけ？」
「はい」
「待たせてんだろ、早く行きな」
「わかりました。では部活で！」
「おう、またあと…速っ！？ 綺麗な加速！！！」
︙
放課後、部室にて。
「及川さん、知ってますか」
やけに神妙な顔をした矢巾に、及川はごくりと唾を嚥下する。こんなに真剣な矢巾は、バレーをしている時くらいだ。
「一体なに…？」
心なしか握った手も汗ばんできたような気がした及川は、いつになく静かな矢巾に堪えきれずに問いかける。そして彼は口を開いた。
「堀田さんのダッシュ…めっちゃ綺麗に加速するんです」
「…は？」
「「「は？」」」
あまりのどうでも良さに愕然とした。盗み聞きしていた部員達も花巻の「かいさーん」という一言に散っていった。
「あ、それ俺わかります」
唯一矢巾に賛同したのは国見である。
「この前、二組合同で体育の時間にリレーやったんですけど、堀田のダッシュが速くて綺麗に加速するって話題に」
「千冬ちゃんすげぇかよ」
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志織(プロフ) - ヒトさん» ホリミヤいいですよね！ハイキューを全面に押し出しつつ、ホリミヤ成分もそこはかとなく入れ込みたいと思います（笑）コメントありがとうございました！ (2019年12月4日 21時) (
レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト - ホリミヤネタ最高です。 (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3761af80f9 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 八重さん» コメントありがとうございます！ヒロインなら私も金田一かなと思いますが、国見は何となく自己主張強そうなのでああいう感じです（笑）私はギャグセンスがないのでは？と思っていたので、面白かったと言っていただけて何よりです！ (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - 面白すぎてずっと笑ってたら姉に(･∀･)<ｳﾙｾｪェェェエエって言われましたどうしてくれるんですか？(謎) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - いやぁー私思うんすけど、やっぱりヒロインは国見じゃなくて金田一だと思うんですよぉー(笑) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志織
| 作成日時：2018年4月7日 10時
