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15話「交友関係、広げよう」 ページ15

その数日後、夜ご飯を調達しに嶋田マートまで行った帰り道。見たことのある黒いジャージ…烏野バレー部のジャージを着た男の子が、エナメルからはみ出ていたタオルを落としていった。


少し迷って、それを拾い上げて声をかける。タオル落としましたよ、と言えば、振り向いてギョッとした。理由はお察しの通り、ピアスまみれだからだろう。


「すす、すみません!」
「ああ、いえ。烏野の方ですよね、この前はどうも」
「…この前? ……あ、もしかしてマネージャーさんですか? すみません、雰囲気違うんで全然気づきませんでした。俺、一年の山口忠です!」
「……よく気づかれましたね、一年の堀田千冬です」
「言われれば気づきますよ、同じ顔してるし…。ていうか、タメだよね。敬語、なしでいいかな?」
「いいよいいよ、堅苦しいし」


大問題だ。
2週間近く過ごしてきた青城とほぼ初対面な山口くん。なんで山口くんにはこんなに簡単に見抜かれたのに、皆は私と気づかないのだろうか…。
まあ、大問題とは言ったがそんなこと思ってないし、寧ろ大げさに反応してくれるのは面白くていいけど。ていうか、山口くんが他人をよく見てるのだろう。大抵の人は気づかないのだし。


「山口くんも嶋田マートに来てたの?」
「駄菓子買いに来てた!」


かわいいな。
帰り道、なんとなく並んで歩きながらぽつりぽつりと話をする。といっても、山口くんの幼馴染だという『ツッキーくん』の話ばかりだったが。ただ、少しばかり落ち込んでいるようにも見えた。なんだろう、と首を傾げていると、「あの練習試合、一年、俺だけ出られなかったんだあ」と寂しそうに笑う。


「そうなんだ」
「うん。恥ずかしいけど、皆に比べたら覚悟とか、色々足りてなかったのかもなって」
「ああ、あんな速攻見せられちゃったらそう思うのも無理ないかも。じゃあ、今後に期待ってやつなんじゃない?」


なんとなく、誰にも言えなかったのかなと思う。先輩や同級生達は出会ったばかりだし、幼馴染に関しては憧れが強すぎるような気がする。むしろ私みたいに交流なんてほぼない人のほうが、聞き流してくれていいのかもしれない。


「うん、そうだよね。俺も頑張らなくちゃ」


ふんわりと微笑んだ山口くんは、先程よりも幾らか元気になったように見えた。
 
 
 

16話「拝啓、愛しの従妹様」→←14話「“天才”」



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志織(プロフ) - ヒトさん» ホリミヤいいですよね!ハイキューを全面に押し出しつつ、ホリミヤ成分もそこはかとなく入れ込みたいと思います(笑)コメントありがとうございました! (2019年12月4日 21時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト - ホリミヤネタ最高です。 (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3761af80f9 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 八重さん» コメントありがとうございます!ヒロインなら私も金田一かなと思いますが、国見は何となく自己主張強そうなのでああいう感じです(笑)私はギャグセンスがないのでは?と思っていたので、面白かったと言っていただけて何よりです! (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - 面白すぎてずっと笑ってたら姉に(・∀・)<ウルセェェェェエエって言われましたどうしてくれるんですか?(謎) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - いやぁー私思うんすけど、やっぱりヒロインは国見じゃなくて金田一だと思うんですよぉー(笑) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:志織 | 作成日時:2018年4月7日 10時

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