戦える５９ ページ10
その日の夜、帰ってきた黒尾は真っ先に私に掴みかかってきた。
「お・ま・え〜っ！ なんッッでこっち来なかった！！ 俺ら大変だったんだぞ！ 赤葦を見ろ！」
「菜の花のからし和え食べたい…」
「重症だ！！」
大方の予想はつく。赤葦さんは普段共有スペースのソファーに寝転ぶなんて事はしないので相当疲弊しているけれど、その原因なんて一人しか見当たらない。
「ハラ減ったー！！」
木兎さんである。
「もうまじ…木兎の世話と並行してあの鬼訓練だろ？ 死ぬわ」
「でも大分有意義だったでしょ？ 体の動かし方とか、色々」
「まあな。照島はどっちかっつーと感覚タイプで次の手が中々読めねえ。体力をつけたいならもってこいの相手だな。中島は技量がスゲェ。なんか捻りとか微妙な力加減で加えてくるから、攻撃受けんのもムズいし全力で攻撃もできない。アイツ等組ませたら普通に超能力者にも勝てそうだよな」
黒尾は中々に分析力がいいらしい。彼の言った通り、遊児は感覚で戦うし、猛は受け流しや捻り技が得意だ。
「まあ目下の目標は体力をつけることですね。俺達…というか俺と黒尾さんは持久戦に慣れておかなくてはいけないですし」
「だな」
「やっぱり皆さんセンスがあるんですね…考えるのが早いっていうか」
「得意な事は皆違うからね。現にさ、仁花は一番最初に私と“リンク”できたでしょ」
私がそう言うと、仁花はもごもごと口を動かした。照れているらしい。
「そういやリンクってどんなだ！？」と木兎さんが尋ねる。影山、翔陽、仁花には説明してあるし、仁花はもう成功させているので一年組は皆理解している。
「影山、リンクってどんなだっけ？」
「俺があのコムズカシイ説明を理解できたと思ってんのかボゲ」
前言撤回、もっとわかりやすく教える必要があったみたいだ。
「……それじゃあ、かいつまんでご説明します。リンクとは、他人と視界や聴覚を共有する――わかりやすく言えば、他人の見ているもの、聞いているものを、自分も感じることができる、という複数人型の能力です」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 625人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
油揚げ(プロフ) - 設定とかすごく面白くて，ついつい一気に読んでしまいましたwこんな素敵な作品に出会えて良かったです！ (2021年11月9日 5時) (
レス) @page21 id: 19252ecbde (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - レイさん» 返事が遅くなり申し訳ありません！なんと3DSの時から！とても嬉しいです……！気が向いたときにでも読んでくださると嬉しいです(*^▽^*)コメントありがとうございます！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 更新ありがとうございます！自分がスマホ持ってなくて3DSの時から読んでいてお気に入りだったので嬉しいです！無理をしない程度更新頑張ってください！ (2020年3月26日 22時) (レス) id: 860c0e78fc (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - あぐりさん» コメントありがとうございます！そしてお待たせいたしました！変わっていく兄妹と、その周りについても書いていきたい所存でございます！お楽しみ頂けて幸いです……！ありがとうございます！ (2020年3月10日 20時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
あぐり(プロフ) - 更新ありがとうございます！ ずっと待っていたので更新されて嬉しいです！ここからの夢主と及川さんの兄妹としてどんな風に関わっていくのか楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: e34e873475 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：志織
| 作成日時：2017年1月22日 16時
