戦える６７ ページ18
「っお、ちつけ、及川！！」
ガードが弾かれた私を守るように、その人は立ちはだかる。黄金川のガードのようなパワフルさはないが、硬く安定感のあるそれはガードを完璧にするために長い時間心血を注いだものだろう。見覚えのあるその人は、伊達工サークルのリーダーだ。茂庭さん、といったか。
その人の静止にさえ、彼は耳を傾けなかった。いや、もはや思考など意識の外にあるのかもしれない。
「おい、何してんだ！？」
「大丈夫か！？」
ガードが二倍強化された。この事態に迷わず駆け寄ってきた二人は、たしか同じく伊達工サークルの人だったと思う。
「鎌ち、笹谷ん！ 俺もよくわからないけど、渡貫さんが攻撃されてて、それでっ！」
「話は後だ、一気に弾くぞ！」
「よっしゃ！ いくぞッ！」
「「「せー、のッ！！」」」
バヂンッ！！ と破裂音にも似たそれが響き渡る。強い力に強い力で押し返すと、こうなるらしい。
緊迫した状況は、あとからやって来た二人が及川さんを取り押さえた事で収束した。
安心したのか、腰が抜ける。それは私だけでなく、茂庭さんも同じだった。
「……君ら、何してたの？」
座り込んだ私達はしばらく呆然としていたが、放念したまま疑問を口に出したような彼の問いかけに思考が動き始める。
何、と言われても、私もなんと説明すべきか分からない。
とりあえず。
「……兄妹喧嘩、ですかね…」
「へー………え？」
大きく見開かれた目に、情けない笑みを浮かべた。
「……似てるなとは思ったけど、まさかの兄妹…」
「私も、及川さんが兄だなんて思いもしませんでしたよ」
……私は、気づけなかった。あの人は気づいてくれたのに。
「――気づけなかったなぁ」
ごめんね、お兄ちゃん。
唇を噛み締めた私に同情したのか、茂庭さんは真剣に、言葉を選ぶように、私に語りかける。
「……君らに何があったのかはわかんないけどさ、とりあえずこれからどうするかって事だろ？ 変わろうと思えば変われる。大丈夫だなんて軽率には言えないけど、渡貫さんは頼れる人、いると思うんだ。なんなら、俺を頼ってくれてもいいし……だから、家族と思うなら大切にしてやって、及川のこと」
最初はうまくいかないかもしれないけど、と言いながら茂庭さんは立ち上がった。そして、私に手を差し伸べる。それを私はありがたく受け取ったのだった。
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油揚げ(プロフ) - 設定とかすごく面白くて，ついつい一気に読んでしまいましたwこんな素敵な作品に出会えて良かったです！ (2021年11月9日 5時) (
レス) @page21 id: 19252ecbde (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - レイさん» 返事が遅くなり申し訳ありません！なんと3DSの時から！とても嬉しいです……！気が向いたときにでも読んでくださると嬉しいです(*^▽^*)コメントありがとうございます！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 更新ありがとうございます！自分がスマホ持ってなくて3DSの時から読んでいてお気に入りだったので嬉しいです！無理をしない程度更新頑張ってください！ (2020年3月26日 22時) (レス) id: 860c0e78fc (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - あぐりさん» コメントありがとうございます！そしてお待たせいたしました！変わっていく兄妹と、その周りについても書いていきたい所存でございます！お楽しみ頂けて幸いです……！ありがとうございます！ (2020年3月10日 20時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
あぐり(プロフ) - 更新ありがとうございます！ ずっと待っていたので更新されて嬉しいです！ここからの夢主と及川さんの兄妹としてどんな風に関わっていくのか楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: e34e873475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志織
| 作成日時：2017年1月22日 16時
