路地にて ページ47
狭い路地には沢山のゴミが散らばっていた。
空き缶、紙くず、たばこの吸い殻……
数え上げればきりが無い。
それらは地面に出来た茶褐色の水たまりに身を浸すか浮いているかしていた。
僕は、路地に漂う悪臭に耐えかねて息を止め、水溜まりを避け避け歩いた。
行けば行くほど、なんで自分がこんな所にいるのか分からなくなる。
いくらなんでもこんな所にユウミさんがいるはずがない。
そろそろ帰らなきゃ……時間が………
だけど、そう思いながらも僕は前に進んだ。
元々垣根だったらしい朽ちた木の残骸を避け、乗り越える。
急に路地が広くなった。
いや、道が広くなったというのではないみたいだ。
僕はどうやら空き家の庭に入り込んだらしい。
一面に敷き詰められたオレンジ色の煉瓦の上を僕は歩いた。
煉瓦が剥がれてしまっている所には、ぼうぼうと草が生い茂っている。
少し離れた所には、暗くてよく見えないが崩れかけた家と水の枯れた噴水がある。
僕から見て噴水の左側には、錆びてはいるけども立派な金属の門扉が建っていた。
門扉から外へ出ると、大通りへ出られるみたいだ。
「……なんだよ、おい……」
「いいだろぉ……」
突然、近くで野卑な男の声がした。
急に心臓がドキドキして来た。
何となくそこへ行った方が良いような気がして、僕はキョロキョロと辺りを見廻しながら、小走りで声の方へ向かった。
空き家のすぐ側へ行くと、裏側にある塀の側にチカチカと点滅しながら街灯が一本立っているのが見えた。
僕はまた一歩進みかけて……立ち止まった。
落書きだらけの塀の際に、ボロボロのジーンズに金色の鎖の飾りを何重にも付けていたり、髪の毛をド派手なピンク色とかに染めたりしている男の人が5人も集まっている。
遠目からでも、その人達が柄の良くない人達であることはなんとなく分かった。
うわぁ、本当に何で僕はこんな所に来ちゃったんだろう……。
見つかったら絡まれるかも知れない。
だけど、去り際の足音を聞きつけられたくないと思った僕は、しばらくその人達の様子を見る事にした。
すぐに僕は変だなと思った。
何であの人達は、ぎゅっと間を詰めて……というか殆どくっつく感じで壁際に立っているんだろう。
家の裏側とはいえ、広い場所なのに。
「だから!楽しいって!」
楽しい?何が?
何を話しているのか知りたくなって、僕はまた一歩近づいた。
……その瞬間。
真ん中の方に立っていた男が、後ろにふっ飛んだ。
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作者名:木の葉月&シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio
作成日時:2020年11月13日 12時