不機嫌な探偵2 ページ22
リーオックさんはそう言って、僕の背中を一際強く踏み……僕が「ふぎゃっ」と言った後、やっと足を下ろしてくれた。
「ああ、無駄だ無駄だ無駄だ!もう六日前に終わってるんだぞ、この会話は!俺に繰り返させるんじゃねぇ!」
「は……はいっ」
僕は勢いに押されて元気に返事をしてしまった。
でもさ……リーオックさんが喋った僕のセリフは、確かに僕の言いたかった事そのままではあるんだけど……!
結局僕は一言も発してないんだよ?
ドアを蹴飛ばそうとしていたとは言え、それも未遂なのに……背中は痛いし、心も痛い………
リーオックさんもコノハヅキさんも、何でそんなに酷い人なんだよ!
僕はリーオックさんの気が変わらない内に、とヨロヨロ立ち上がった。
ちょっと軋んだような気がしたけど、背骨は無事らしい。
良かった、なんとか一命は取り留めた!
後は出来るだけ早くこの部屋から出ることだ……。
でも、いつの間にか2号室の扉は閉まっている。
逃げたくても逃げられない。
と言うかその前に……部屋を勝手に出て行ったら殺されるかも知れない。
どうしよう……
「俺にこんな無意味な事はさせるな!」リーオックさんが再び怒鳴ったので、僕は思わず悲鳴を上げそうになった。
その上、リーオックさんはいきなり僕の真横に足を「ずん」と踏み出して来た。
「お前には分からないだろうがな、ただでさえも重大で深刻で!しかも不可解な謎を抱えてるんだ!俺の思考の邪魔をするな!分かったらさっさと……」そう言いながらリーオックさんは、なんと自ら2号室の扉を開け放った。
「出て行け!」
「えっ、ああ、ありがとうございます!」
「もう何も言うな、出て行け!」
僕は心の中で快哉を叫びながら、大股で廊下に出て行こうとした。
ところが。
「いや、やっぱり待て!」
直後にリーオックさんの制止がかかった。
えっ?!嫌だよ!
待つもんか!
僕はリーオックさんの声が聞こえないふりをして、そのまま廊下を走り去ろうとした。
でも、後ろから服の裾を勢いよく引っ張られ、僕はまたその場に転んだ。
「待てと言っているのが聞こえないのか?」
「わわわわ分かりましたから、それを!お願いですから、離して!!」
転んだ時点で、僕は覚悟をしていたのだけど……
リーオックさんに引っ張られたと思わしき自分の服の裾を見た後は、ショックのあまりまともに口を聞けなくなった。
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作者名:木の葉月&シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio
作成日時:2020年11月13日 12時