【旧バージョン】僕のクレイジーDAYS・２ (ページ17)

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電話ページ17

「これは僕のカンだけど。」
カンと言っているのは口だけで、コノハヅキさんは「そうと決まっている」という顔で僕を見た。

でも、残念でした！
これは絶対に僕宛ての電話じゃありません。

僕の知り合いは誰も、サンクチュアリの電話番号はおろか、住所も知らないもんね。
僕が教えなかったから。

ふふ、いくらコノハヅキさんでも、カンは当てにならないんだなぁ～。
僕はちょっとだけ良い気分になった。

僕がお母さんに連絡先を教えなかったのは、とにかく自分の安全地帯が欲しかったからだ。
もし教えたら、絶対に電話だけじゃすまない。
毎日嬉しくない内容の手紙が届く。
それどころか本人がやって来る。
そうなったら最悪だもの。

高校の時の友達に教えなかったのは、卒業後も付き合っていたいほど仲の良い人はいなかったからだ。

……それなのにコノハヅキさんは、僕宛ての電話で間違いないと思っている！

僕は笑いを押し殺し、「僕に電話をかけてくる人はいないんですよ。皆、ここの番号を知らないので。」と言った。
溜飲が下がるとは、この事だ。

でも、コノハヅキさんは動じなかった。
それどころか、「まぁ、出てご覧よ。」と言いながらまた自分の世界に入ってしまう。

その様子があまりにもあっさりとしていて、僕は拍子抜けした。

そうこうしている間にも、電話は４コール目に入っている。
ベルの音が「ジリリリリリリリリ～ン♪」と騒がしい所為もあると思うけど、なんだか「誰かが出るまで鳴り続けるぞ」という意志を感じる。

絶対コノハヅキさんかリーオックさんへの電話だと思うけど……まぁいっか、僕が出ても。
電話が終わってから「やっぱり違いましたー！」ってコノハヅキさんに言えば良いや。

僕はやれやれと頭を振りながら受話器を取った。

しかし……。

「はい、もしもし。リーハ・マフィーです。」

僕は次の瞬間、絶望のドン底へ突き落とされる事になった。

「ハァーイ、リーハ！私よ、私！」

え！
その声は、まさか………

「お、お母さん？！」

えっ、なんでここの番号が……
そんな…嘘だーーーっ！！

「ふっふ、驚いてるわね。私はアンタの倍生きてるのよ？その大人相手にいつまでも隠し通せると思ったわけ？全く、勝手な事をして！」

お母さんは更に、とんでもない事を言った。
「いい、明日私はそこに行くからね！荷物をまとめておきなさいよ！」

僕は鈍器でグワンと、頭を殴られたようだった。

そんな……そんな！
僕は帰りたくないよ！