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フランス人形、再び2 ページ12

けれども、僕の祈りは神様に届かなかったみたいだ。

人形は「シャァァァァァァア……!!」という威嚇とともに、牙を剥き出し鋭い爪を立て、大きくジャンプをした。


すると、リーオックさんは振り返る事なく、襲いかかった人形に、ナイフを投げつけた。

空気を切り裂いて銀の光が飛ぶ。
しかし、人形は空中で素早くそれを避けた。ナイフはドレスの裾を掠っただけだった。

えええ!嘘でしょ?!
あれを避けられるなんて!!

僕はあまりの恐ろしさに血が凍るようだった。
どうしよう、あの人形をリーオックさんが退治出来なかったら!

でもそれは杞憂だったらしい。
人形は、壁に当たって跳ね返るナイフまでを避ける事は出来なかったのだ。

次の瞬間、「ドスッ」という鈍い音と「キィーン」という金属音が部屋に響き、人形は壁に打ち付けられる格好となった。

よ、良かったよ………。
さすが、リーオックさんの神業……。


しかし。

これで一件落着と思い、僕が息を吐き出した途端……。

「シャァァァァァア……!!」
人形は再び奇声を上げ……首を飛ばしたのだ!

「ウワァァァァァァァァ!!!」

牙を剥き、髪を振り乱し飛んで来る人形の首の形相の凄まじさに、気づくと僕は悲鳴を上げていた。

リーオックさんは、相変わらずコノハヅキさんと睨み合ったままで後ろを全く見ようとしない。
でも、壁に打ち付けたはずの人形の更なる威嚇には、少なからず驚いたらしい。
訝しげに片眉を上げた。

そうこうしている間にも人形の首は飛んでくる。

危ないよ、リーオックさん!
リーオックさんは、もう手に何も持っていないのだ。
そばの机の上にあるのは、僕の勉強道具と……でもそれは使わないで欲しい……リンゴのウサギ達しかない。

リーオックさん、どうするの?!
ウサギを投げつけるの?!


僕が一人でパニックになっていると、リーオックさんは右腕を一瞬、痙攣(けいれん)でもするように歯切れ良く動かした。

すると、黒い服の袖を伝ってするりと手品のように小さな銃が現れ、あっという間にリーオックさんの右手の指に収まった。
同時に、リーオックさんは指の中でそれを回転させた。そして、銃が逆さまの状態で……ろくに狙いもせず……それどころか振り返りもせずに人形に向かって引き金を引いた。



ぱっと白煙が立ち、乾いた音が響く。



そして……。


「ゴト、」

額に穴があいた人形の首が、床に落ちて転がった。

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設定タグ:恋愛 , 冒険 , 殺し屋   
作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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作者名:木の葉月&シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio  
作成日時:2020年11月13日 12時

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