第陸章・「薬草園」 ページ6
「よし、と。今日も皆元気だね〜」
額に浮かぶ汗を手の甲で拭き取り、
薬草たちの世話を終了した。
気持ち良さそうな音を立ててサラサラと水が流れる水路。
そして綺麗に咲く花や草。
ここは城内の薬草園。
私が薬室長に任された場所。
さっき紅覇と追いかけあいっこをしたあと、すぐに向かったのがこの場所。
「それにしても・・・暑いよぉおー!! 春・・・春だからなのか・・・」
薬草たちの世話―水をやったりすること―が終わったので
薬草園から出ようと、扉に手をかける。
と
ゴンッという音がして扉が顔面に直撃する。
と同時に耳鳴りがするほどの大きな声で、向こう側から扉を開けた人が叫んだ。
「大変!!!
お兄様が急に倒れて―――って、
あ・・・ごめんなさい・・・もしかして私のせいで・・・?」
声の主は煌帝国第八皇女・練紅玉ちゃんだった。
紅玉ちゃんが扉をこちら側に勢いよく押し開けた時、
丁度私がこちら側から扉を開けようとしていて。
それで運悪く直撃してしまったようだった。
「これくらいのことは気にしないで!!超痛かったけど気にしないで!!
後で林檎おごってくれたら許すよ!!!気にしないで!
そんなことより、どうしたの? 朝から私のところに来るなんて珍しい」
そう聞くと、紅玉ちゃんはぷるぷると震えだした。
よく見ると目に少し涙を浮かべている。
「お・・・お兄様が突然倒れて・・・っ! 私、どうしたらいいか分からなくなって・・・!」
「ほんとに見事にスルーしたね! 全然気にしなかったね! でも仕方ないよね!
お兄様ってどちらのお兄様? 紅炎様?それとも紅覇?」
「紅覇お兄様の方ですわ・・・!」
「よし、伝えに来てくれてありがと!」
短くお礼を言うと、紅玉ちゃんの頭を撫でた。
そして思い切り薬草園の床を蹴る。
――目指すは紅覇の待機する場所へ!
*
人間誰でもひとつは取り柄があるらしい。
私の場合、薬学に詳しいことが取り柄だと思う。
まぁ、詳しいって言ったって上司とか薬室長さんとか他の薬剤師に比べたらそれほどでも
ないかもしれないけど。
それに、正式に「宮廷薬剤師」になったのだって十六歳くらいのこと。
それまでの四年間はずっと「宮廷薬剤師見習い」だった。
今では十九歳で、正式な「宮廷薬剤師」として働いてる。
42人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あぉぞら - すいません!紅覇くんの消してしまいました…。短編集書いてるので、良ければそちらを…!すいません!玲琉.さんの作品、大好きなんでこれからも読ませて頂きます! (2015年6月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 0a5444ed6a (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - あぉぞらさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえてすごく嬉しいし励みになります・・・! あぉぞらさんの小説は時間があれば是非読ませて頂きます・・・! (2015年6月9日 18時) (レス) id: 7d3c1dd707 (このIDを非表示/違反報告)
あぉぞら - 私、小説の一気読みはしないんですが、この小説は面白すぎて一気読みしました!私も紅覇くんの小説かいてるので、良かったら見て下さい! (2015年6月9日 1時) (携帯から) (レス) id: 0a5444ed6a (このIDを非表示/違反報告)
もちづき。(プロフ) - 玲琉.さん» ひえええぇありがとう・・・!!発想力というか妄想りょ((ゲフンゲフン。うん!ちょっと息抜きとかに読ませてもらうね! (2014年12月29日 14時) (レス) id: 8ea19f9ae6 (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - もちづき。さん» 来てくれて有難うー!!!!つきちゃんは文才あると思うよ^^っていうか恋愛のシチュエーションとかの発想力がすごいと思う!この小説はマギ知らなくてもわかる内容だと思うよ・・・!多分・・・!良ければ全部読んでやってね()綺麗な文章とか何それ嬉しすぎ>< (2014年12月29日 14時) (レス) id: 754b0bfd10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玲琉. | 作成日時:2014年4月4日 18時