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出航 ページ14

「倉庫から船室まで隈なく探せ。」



ドーントレス号からは私達を探す声がする。


こちらの船に戻って来れないようにウィルが全てのロープを断ち切り、梯子を海へ落とした。



しかし、その様子に気づいてしまったらしく、水夫の一人がロープでインターセプター号に戻ろうとしたがもう遅く、船は出航していた。



「提督!船出の用意を済ませてくれてありがとう!!俺達でやってたら大変だった!」


スパロウが声を張り上げると、海兵達がスパロウだけを狙って銃で撃ってきた。



私がスパロウの近くの手すりに頬杖をついて笑顔で軽く手を振っていると、銃声が直ぐに止んだ。



「ヴィクトリア!何やってる、危ないじゃないか…!弾が当たったらどうするんだ。」



「平気よ、ウィル。現にこうして無事だし、それに海軍に私を撃つことは出来ないわ。」




「でも大砲が届く距離まで追いかけて来て、船を大砲で撃ってから君を連れ戻しに来るかも。」


「それは絶対に無理よ。舵を壊しておいたもの。」



少しすると、もう何も無い海へ出た。



頬に当たる潮風が心地いい。



「はぁ。ジャック。ヴィクトリアを海賊の道に引きずり込んだのは僕達だ。」



「それがどうした。それにそのお嬢さんなら簡単に戻れるさ。海賊はそれほど悪いもんでもない。先ずは事実を認めろ。」




「僕だって馬鹿じゃない!父を知ってるんだろう…?」


スパロウがため息をついた。



「ああ知ってる。本名がウィリアム・ターナーってこともな。みんなは長靴のブーツストラップ・ビルって呼んでたよ。」


私は二人の話をマストに寄りかかりながら見ていた。



「ブーツストラップ?」



「いい奴で、いい海賊。お前あいつとそっくりだ。」


「そんなの嘘だ。父は貿易船に乗ってた。法に背いたりしない立派な船乗りだ!」



「いいや、海賊だった。ならず者だ。」



スパロウの言葉に苛立ちを隠せないウィルは遂に剣を抜いた。



「僕の父が、海賊なんて有り得ない…!」



「さっさとしまえ。勝負して負けたばかりだろ。」



スパロウは舵を切り、ウィルを海の上のマストにぶら下がらせた。



そこまで来て、私は初めて二人の会話に口を出した。



「キャプテン・ジャック・スパロウ?私の前で乱暴は控えていただきたいのですけど。」



「はぁ…。あんたには敵わないよ。」



そういうとスパロウはまた舵をきり、ウィルを船の上へ戻した。



「ふぅ。」



私は手摺りに肘をかけて海を見た。

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Caesar(プロフ) - ティコ。さん» 返信遅れて本当にすみません!!m(_ _)m面白いという御言葉すっごくありがたいです!!ありがとうございます!!!更新頑張りますね! (2018年3月1日 19時) (レス) id: 0b14e887c8 (このIDを非表示/違反報告)
ティコ。(プロフ) - めっちゃ面白いです!!更新頑張ってください!あと、1つ質問なのですが、名前は固定ですか? (2018年2月28日 12時) (レス) id: e878cfb355 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» 追記:本当にありがとうございます! (2017年8月7日 21時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» あれ見たらファンになっちゃいますよね!その気持ち凄く共感できます!! (2017年8月7日 19時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
むらなか(プロフ) - 私もパイレーツファンでいつも楽しく読ませていただいてます。更新楽しみにしてます!笑笑 (2017年8月7日 17時) (レス) id: ce8b8b5d42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ダージリン x他1人 | 作成日時:2017年7月1日 15時

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