「3」 ページ46
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「ん、瓶貸して」
『え？あ、はい』
フライドポテトの紙袋を捨てるついでに飲み終わったラムネの瓶も回収される。
本当、モテる仕草の研究してますかってくらい。
それくらい、変に意識させるような行動ばっかりで。
『…なんなの』
口に手の甲を当てて、隠すように俯いた。
「ただいまー」
『…おかえり』
「ん？なした？」
『や、別に、なんも』
元々、望がかっこいいのは周知の事実だったけど。
「あーっつ。
浴衣ってもっと涼しいもんやと思ってたわ」
『いや、じゃあなんで着てきたの』
襟元を少し緩めて首筋を扇ぐようにされたら、かっこいいってことを、認めてしまいそうになる。
「あ、せや」
差し出された掌でころんと転がった青いビー玉。
巾着袋の紐を締めた望は、照れたようにはにかんだ。
「さっき水道で洗ってきた。
飲む途中、転がして遊んどったから」
恥ずかしさと嬉しさが入り交じる。
「ありがとう」とぎこちなく言うと、彼はふわっと笑って私の手にビー玉を握らせた。
キラキラと屋台の光を反射させるそれ。
まるで望の好奇心旺盛な瞳を見ているようで、ビー玉をぎゅっと握って、笑った。
「なんで笑うん」
『ふふ、目が輝いてる子どもに戻ってみるのも悪くないかなって』
「…なに言うてるかよう分からん」
『分からなくていいよ。こっちの話だもん』
「なんでや！」
『なんでもー』
子どもの頃を思い出す。
キラキラした物が好きだった私は、ラムネのビー玉がどうしても欲しくて。
でもビー玉を取り出すには、幼い子どもにとってはとても固い蓋を開けなきゃいけない。
頑張って頑張って、でも開けられなくて。
近くの大人に半泣きで頼んだくせに、ビー玉を渡してもらった直後には泣き止んでたっけ。
気づけば、小学校低学年以来、そんなことはもう一切なくなっていた。
『懐かしいなあ』
思い出すこともなかった、淡い記憶。
大人になったんだと、少し誇らしかった。
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凜憧(プロフ) - まさなさん» ありがとうございます。私も今は徐々に自分を奮い立たせてなんとか行ってます…笑 少しでもお力になれるよう、これからも執筆を続けて参ります。 (2019年12月7日 1時) (
レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
まさな(プロフ) - 凜憧さん» あれ、読んでくれてるんですか！？嬉しいです！海の滴のあとがきで泣きました。私も数ヵ月前まで保健室登校だったので、凛憧さんの気持ちが分かりました。いつまでも応援してます (2019年12月7日 1時) (レス) id: 709458c7d0 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - まさなさん» なんて嬉しいことを言ってくださるんですか…！大ファンだなんて、もう泣きそうなくらい嬉しい言葉です… チラッと作品の名前を拝見させていただいたのですが、ままがむかえにこなかった。という作品、私読んでおります！！笑 お互い頑張りましょう！ (2019年12月7日 0時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
まさな(プロフ) - 『海の滴《紫》』も読んでるんですよ。『夏恋注意報《赤》』も読んでます。そして他の作品もすべて読んでます。私って凛憧さんの大ファンじゃないですか？（唐突）大好きです！頑張って下さい！応援してます(о´∀`о) (2019年12月6日 22時) (レス) id: 709458c7d0 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - ばと担さん» ありがとうございます！わ、キュンキュンしてもらえてよかったです！嬉しいです、頑張らせていただきます！ (2019年7月9日 11時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
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