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メンバーを強く愛しているAがメンバーを避け出した時、何かあったんだと思うのは必然だろう。

明確に避けているわけではなく、どこかぎこちないのだ。
触れるほどの距離になれば離れ、一人で過ごす時間を多く取るようになり、会話をすれば笑顔の端が歪んでいる。

そんな異常が数日続いて、Aは吐いた。

普通のスキンシップだった。ダンス練習お疲れ様って流れで、テンション高く振る舞うテヒョンイヒョンがAと肩を組んだ。離れようとしないので、最近の避け気味なのは治ったのかと思った。違った。

小さく震えてるのに気づいたテヒョンイヒョンが声をかけると、Aは膝を折って嘔吐した。

胃液だけを吐いて、震えていた。ジニヒョンとホビヒョンがAに駆け寄り、ナムジュニヒョンはテヒョンイヒョンに駆け寄る。ユンギヒョンはすぐ吐瀉物を片付けた。

テヒョンイヒョンの表情は読めず、ジミニヒョンは衝撃のあまり立ち尽くしていて、俺も同じだった。

だって、あまりに突然だったから。

けくけくと血を失った指先を震わせて、何も出ないのに喉は嘔吐を続けようとしているのがもう死ぬんじゃないかって俺は思考が止まってしまっていた。


「A」


誰の声かと思った。まさかこの状況で、そんな平然と、テヒョンイヒョンがAの名前を呼ぶとは思えなかったから。


「一緒にお風呂はいろ?」


変わり者というには、あまりに普通の笑顔で。

テヒョンイヒョンはAの前にしゃがむと、手を出す。Aは無言でいた。


「疲れちゃったんだよ。おれもシャワー浴びたいし、ちょうどいいじゃん」

「……」顔に出さないよう努めているんだろうが、嫌そうだった。

「……一人の方が良さそうだよ、Aは」Aの様子に気付いたのだろう。ホビヒョンは代弁するように言う。

「吐いてたやつ一人で入れるの心配ですもん」

「まぁ、それは、うん……でも……」

「……入ります」


幽霊が起き上がるように、ふらりと立ってテヒョンイヒョンの隣にAは立った。
テヒョンイヒョンは急に上機嫌になって、その腕を引き風呂場まで歩いていく。

その接触に体を震わせたのを俺は見逃さなかった。
ただ、引き剥がすこともできない。
テヒョンイヒョンの考えが読めないのだ。


「……なんか、テヒョン、変だ」


ジミニヒョンが言うから間違いない。

今この状況で、あんな日常の笑顔が出る人間は居ないだろう。普通は。

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- 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虞犯少年 | 作成日時:2017年10月7日 22時

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