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「コニー、次はいつ姿を出す。住所も前から分かってるんだし、家に行っても良いがな」
「不良娘が家にいる訳ねーだろうが」
ビアンカがジェームズの一言に冷たく返す。俺はコニーの資料を見て、ある犯罪履歴が目に止まった。
「おい。コニー、硫黄買ってるぜ」
場が一瞬だけ凍りついた。目を細めた先に、汗、ごくりと喉を鳴らす音が聞こえた。キャロルが少し頭を上げ、震える唇を開ける。
「エバンは……エバンは……」
「ああ」
俺は頷いた。リザとチェリーの家の鍋に、硫黄を発見したのはつい先日のこと。
「俺の推測だが、レッドによってエバンが誕生していたことはコニーは知ってたんだよ。コニーはエバンを売る気はなかった、殺る気だったんだ。
チェリーとコニーはお互い知り合いでおまけに睨みあう存在で、コニーがチェリーに赤子がいる事が許せなかったんだろう。ベビーシッターを利用し、別人を装って家に入ったんだ……」
ジェームズがピクリと眉を上げる。
「どういうことだ?」
「リザの家を思い出してみろ。窓ガラスが割れていた。あれは硫化水素ガスを充満させた家に、換気をさせるために割ったものだ。誰がって、家に帰って来たリザがだよ。
そこで硫化水素を外に出す証拠隠滅のためにドアを開け、換気扇を回しに再び家に来たコニーにばったり出くわした。
赤子の死体の転がる家で、ふたりは死闘を繰り広げた。
俺達は、この世にいない赤子を探していたんだよ――」
身の毛もゾッとする話だ。時間が止まったかと思った。その場にいた4人が落胆する。
「リザは赤子がいないことをチェリーに打ち明けられずにいるんだろう。依頼の時、ベビーシッターの容姿や性格を知らないと言ったのはそのためだ。きっと何処かで生きている、そう願うチェリーには申し訳ないが、連絡をしよう」
携帯電話をとる俺の腕を、キャロルは右手で制する。
「待って。それは真相を突き止めてからよ。貴方のはまだ推測でしかないんだから」
ビアンカが口をはさむ。
「情報屋によると、今晩コニーがアジトに来るって。宝石の交換会があるんだってよ?」
妖艶に笑ったビアンカの口に、ないはずの八重歯が見えた。
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時