21 アディ・バンク ページ21
車線変更をして、奴等の後ろにつく。信号は変わることなく、大きな十字路の中を緩やかな弧を描き、左のバイパスに入る。俺等は右側から来た大型トラックを先に行かせてやり、一本道を同様に走った。
先程の十字路を真っ直ぐ走行すれば、ペットショップがあるベストアディタウンに通じる。だが、左に曲がればシルバーレフトタウン。キャロルは２メートル前にいるオンボロ車を、落ち着かない様子で見詰めていた。
「奴等はどこに行くの？」
「地図を広げるんだ。アディは狭い街だ。行き先も絞られてくる」
俺はドアポケットから地図を出して、キャロルに渡す。それにしても、アディ。大学の調査で一度チームで行ったことがあり、ハンバーガーとフライドポテトが美味しい店があった。そこで馬鹿騒ぎをしたものだ。
胸の中にしんみりと、その時の記憶が鮮やかに蘇ってくる。大学時代は何処に行っても騒いで、へらへらと笑って、時には喧嘩をしたりして。酒を飲んでも、その場所に行った思い出は消えないものだ。さっきの十字路と言い、緑と白の看板と言い、薄っぺらい信号と言い、何ひとつ変わっていない。嬉しく思う。
「街の中心に銀行があるわ」
「詐欺か」
「でしょうね。犯罪三昧だもの。私が見て来るわ」
「い」
いいよ、俺が……と言いそうになり、言葉を止めた。キャロルが現役でないとは言え、ひたすらダメだと言うのはキャロルに申し訳ない。
「任せるよ」
俺の訂正した言葉に、キャロルは微笑んで返す。俺を褒めているようなその笑顔を直視できず、照れ臭く前を見ていた。
◆
街路樹が一定の距離で植えられ、歩道を挟んでビルが立て続けに並んでいる。機械的に出来たような、計算尽くされた街のよう。例のハンバーガーが美味しいお店は、路上でパラソルをはるのではなく、７階建てのビルの２階に移動していた。ロゴを見て、まだやっているんだと声を出さずに喜ぶ。
奴等は予想通り、銀行の入口で車を停めた。大きな銀行で、風潮に流されずに昔の原型を留めている。ヨーロッパの建築家が建てたような壮麗な建物。こんな所は初めて見た。アメリカの国旗が入口にぶら提げられ、その下にはアディ・バンクと黄金色で記されている。
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (
レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)／あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました！このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇｀*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…！！あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます！！！！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ：https://twitter.com/seshiru777777
作成日時：2014年8月7日 15時
