14 個人情報 ページ14
ドアを閉め、懐中電灯をつけてキャロルに指紋を取ってもらった。コンビニで適当に夕食を買い、俺達は今からでもチェックインできる小さなホテルに泊まった。
高層だし、夜景も見える所だがひとつひとつの部屋が狭い。それに掃除もままなっていない。4人分のベッドと、ひとつの照明がある四角い空間だった。
日はもうすっかり落ちて、人々が街に光をもたらす。遊びに来た訳じゃないし、大人が3人だ。キャロルは市役所まで指紋の結果を貰いに行った。
俺は窓から見える夜景に背を向けて、ハンバーガーを食べながら新聞を読んでいた。テレビのない部屋だったので、ジェームズはラジオを点けて、ビアンカは自分のベッドに転がってイヤホンをつけていた。
新聞には、W杯の問題行動や、ダイエット食品や車の宣伝、芸能人の熱愛報道や死去、宇宙飛行士の3年振りの帰還などの記事が載っていた。俺も木星に行ってみたいもんだよ、唯一喰いつけるネタだ。
ドアが開き、青色の封筒を胸に抱えたキャロルが帰って来た。顔色に温度がない所と、大股で歩く所を見ると封筒の中身は大体予想がついた。イヤホンをはずし、ラジオを消し、新聞をベッドの上に置く。
ジェームズは誰よりも速く喰いつき、「どうだった?」
俺達の三角形の重心にキャロルは立って、むしゃくしゃした手付きで大きな封筒を開ける。何枚かのコピー用紙には、顔写真と生年月日、学歴、就職先、住所、結婚履歴等が書かれていた。それと携帯用のバーコードが書いてある。
キャロルは乱雑に俺達にコピー用紙を回した。俺が配られたのは、金髪の女の情報だった。一部一部ホチキスで留めてあり、1枚目には写真、アリア・フローレンスの個人情報が幾つか書かれていた。国籍、何系アメリカ人、学歴、住所……。そして2枚目、3枚目と捲って行く。
キャロルは前髪をかきあげて、とんがらせた唇から、細く分厚い空気を吐いていた。この反応を見るとロクでもない奴がいたらしい。隣にいるジェームズが、交換しろと合図をする。
今度は、バーン・ジョーンズという太った優しそうな男だった。頬の肉付きが良く、グリーンの眼は柔らかく光を取り入れている。
――ただ、先程と同様、犯罪履歴のページが10個や20個の数ではなかった。
そしてドイツもコイツも事件が重なっている。何かありそうだ……!
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時