Chess piece【名探偵コナン】

Episode 38 ページ41

しばらく歩いて、家にたどり着く。

ジンさんを中に通して質問する。


『狭い家ですがどうぞ…コーヒーにしますか？それとも…』

「ふざけんな」


流石に怒られてしまったか。さて、どう話を切り出すべきか…


『怖いなぁ、そんな顔しないでください』


「お前、自分の立場わかってんのか」


『わかってますよ、殺されそうなんですよね。でも、その前にお話ししませんか？』


「てめぇと話すことなんざねぇ」


首を傾げて尋ねてみたが、バッサリと切り捨てられてしまった。
しかし、ここでめげる私ではない。


『そう言わずに、16年前…アメリカの郊外にいた少女のこと、覚えていますか？』


「殺したやつのことなんて覚えてねぇよ」



よし、かかった…！


『殺したんじゃなくて、助けた少女のことです』



「……。」



『覚えて、いますか？』






張り詰めた空気の中、恐ろしいまでの沈黙が私とジンさんのあいだに流れる。


これで、もし忘れられていたらどうしよう。

その時は、NOCであることもバレてしまったし清く自決の道をとろうか…

いや、一層の事ジンさんに殺してもらうのもありかもしれない…




それくらいに、ジンさんから忘れられているということは私にとって辛い。

ジンさんの記憶に残っていないのなら生きる意味もなくなる。



この沈黙を破ったのは、意外にもジンさんだった。

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