第45話 一安心 ページ46
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医師からは、蘭は怪我もなくすぐ目を覚ますだろうとコナン君に言われたものと近しい事を教えてもらった。麻美先輩も軽い一酸化炭素中毒を起こしているものの命には別状はないらしかった。
麻美先輩と蘭は未だ眠っているままで、一秒一秒がとても長く感じた。園子と一緒に蘭の側に座って、ベッドから少しはみ出ていた蘭の手をぎゅっと握った。
「A、そんな顔してちゃ蘭の方がびっくりしちゃうわよ」
「う、うん……火事とか、人が倒れたりするのって…初めて見たから……」
「そっか。Aはなんでか事件とかあんまり関わらないで済んでるもんね」
「もう、逆だよ! それが普通なんだからね」
とんでもない冗談を言う園子に返事をした時、蘭の手がぴくりと動いた。
私は慌てて蘭に向き直って蘭の名を呼んだ。園子も蘭の顔を覗き込んで、「起きて」と声をかける。
ゆっくりと薄目を開いた蘭が、私達の名を呼んだ。私も園子も声を合わせて彼女の名を叫んだ。
「どこ…ここ…?」
「別荘の近くの病院よ! あの後担ぎ込まれたのよ」
園子の説明を受けて暫くぼんやりと宙を眺めていた蘭は、ハッとして突然起き上がった。
「先輩は!? 麻美先輩は!?」
叫んだ蘭に、園子が人差し指を立てて「しーっ」と告げる。私は蘭の向こうで眠っている麻美先輩の方を示した。
蘭は麻美先輩の無事を確認するやいなや「よかった〜」と呟いた。
「何言ってんのよ! 蘭が助けたんじゃない!」
「覚えてないの?」と尋ねると、蘭は首を傾げた後全く覚えていないと答えた。
あまりに夢中だった上に、先輩を見つけた後は沢井さんが安全な方へと誘導してくれたからだという。
「それで外に出てAに先輩を預けたら、なんかホッとして気が遠くなっちゃって…」
「本当にびっくりしたんだからね…! もう、無茶して…」
「でもすごいよ! ヘルメット被って突入しちゃうんだもん!!」
一緒にいた消防士の人が、火事場に入るのは賛成できないけれどヘルメットを被ったのは正解だった、と言っていたと園子が蘭に伝えた。
「コナン君よ! 私がそのまま入ろうとした時に、コナン君が渡してくれたのよ」
さすがコナン君だと蘭も園子も、もちろん私も感心した。
当の本人は、「蘭と一緒に火事場に入ったなら、病院に残って検査にいくべきだ」と言った私に、「大丈夫、ボクピンピンしてるから」と答えておじさんと一緒に現場に戻ってしまって、ここにはいなかった。
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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます!!!更新応援しています!!!シリーズ化大希望です!!!!! (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか? (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした!すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください!!♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ!"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
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