第26話 江戸川コナン ページ27
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私はそれから暫くの間、コナン君から視線を外すことができなかった。
思い返せば、座り込んで放心していた私に、「A」と怒鳴った彼も新一の面影があったような気がしないでもない。前もコナン君が新一と重なって見えたことがあったな…と私はふと思い出した。
もしかしてコナン君って、新一の…。
一人で密かに考えているうちに、コナン君は「ボクこっちだから」と言って別の通学路へ向かってしまった。
私がその背をぼうっと眺めていると、蘭や園子が「A?」と名を呼んできた。
「どうしたの? コナン君が行った方向ずっと眺めて…」
「あ……実はさっき、コナン君が小さい時の新一にみえてね」
園子は「あのガキんちょが?」とあり得ないと言いたげな顔をしたが、蘭は心当たりでもあるのか「わかるよ」と頷いてくれた。
「私なんかこの間、コナン君が新一なんじゃないかって疑っちゃったもの」
「え…?」
蘭はおかしそうにそう言った。私はそれを聞いた瞬間、頭に電撃が走ったような気がした。
コナン君と新一が、同一人物だったら…?
そうだ、そう考えると話は大きく違ってくる。私は今まで、コナン君は新一の親戚か何かだと想像していたのだ。
しかし同一人物だと考えると一転、それらしき点が多すぎるほど浮上してくる。
推理小説、特にホームズシリーズが好きな所や、サッカーの特技。子どもらしからぬ卓越した推理力と知識量。
そして何よりも、新一が失踪してから少しして、蘭の事務所で出会った見知らぬ少年という点。
およそ推理とは呼べぬ推測だが、恐ろしいことに、私は確信を感じてきていた。
偶然の一致を一つ認めるなら十分考えられても、二つ三つ重なるということになるとありえなくなる。昔、新一に借りた推理小説にもそんな一節があった。
思えば、コナンという名だってホームズの生みの親から拝借したとしか思えないし、江戸川という名字は江戸川乱歩から取ったものだろう。名字名前揃って偽名に違いない。
徐々に江戸川コナンという少年の異質さが浮き彫りになりはじめ、私はそこまで考えた末に呆然となった。
「…ねえ、蘭……本当にそうなんじゃないのかな」
蘭が「え?」と聞き返したので、私は一度躊躇い、今度ははっきりと言い直した。
「コナン君って、新一かもしれないよ」
園子は私の言葉に信じられないという呆れた表情を見せたが、蘭は何か知ってるのか、微笑を浮かべてみせるのだった。
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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます!!!更新応援しています!!!シリーズ化大希望です!!!!! (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか? (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした!すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください!!♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ!"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
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