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ゆめをみた。
彼女と幸せに生きるゆめを。
ゆめをみた。
かわいい後輩が2人で2番目に最強になっているゆめを。
ゆめをみた。
悟様と呼ばれていた自分の主人と、唯一無二の親友といつまでもくらすゆめを。
ゆめをみた。
俺らの世代の紅一点だったひとが生きているゆめを。
ゆめをみた。
始めての教え子達が全員生きているゆめを。
ゆめをみた。
獄門彊なんてものは無くて、渋谷事変なんてのもなくて、2代目の教え子達と呪術師をやっていくゆめを。
ゆめをみた。
大切に育ててくれた産みの親といつまでも故郷でくらすゆめを。
ゆめをみた。
育ての親と世界中を旅していくゆめを。
夢だった。
彼女は死んだ。
悟とは、封印されたからもう会えない。
七海は階級違いの任務に行かされて死んだ。
灰原は七海の皮を被った脳みそ野郎に殺されて死んだ。
唯一無二だった親友の傑は離反した。
硝子は上層部の人間に胎にされそうになって、抵抗して死んだ。
真希と棘とパンダと憂太は離反した傑に殺された。
傑は殺せなかった。逃してしまった。
渋谷事変が起こった。
脳みそ野郎は、灰原の皮を被って傑を殺したと言った。
獄門彊に封印された。
血の繋がった父と母は海賊に殺された。
育ての親は病気で死んだ。
それが現実だった。
”俺”というものが生きていたから起きた不幸だった。
本当だったら、悟が封印されるはずだった。
本当だったら、灰原が任務で死ぬはずだった。
七海は最後まで生きているはずだった。
本当だったら、硝子だって最後まで生きているはずだった。
本当だったら、真希と棘とパンダと憂太は生きているはずだった。
本当だったら、あそこで”雪”ではなくて悟が行っているはずだった。
傑はあそこで死んでいるはずだった。
本当だったら。
本当だったら。
本当だったら。
本当だったら。
”お前”が生きているせいだ、と耳元で声がした。
ああそうだ。
俺が生きているせいだ。
俺が生きているせいでいらない事まで起きてしまった。
…………それを認めたとして、じゃあ俺は何をすればいいんだ？
俺が何をしても俺は”異分子”だから結局不幸が起きてしまう。
魂に取り憑いたお前はいつも「お前のせいだ」と言うけれど。
ならば俺は一体何をすればいいんだ？
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作者名：あんちょび | 作成日時：2022年9月27日 17時
