母さん ページ7
その男は黙って母の近くに寄れば体調のことなどを尋ねた
警戒することなく話す母を見て安心した名前は、静かに眠りに落ちた
少しして、慌ただしい物音で目を覚ました名前
母は苦しそうに腹をおさえている
貴「母さん！！！どうしたの！！」
近寄ろうとした名前を男が止めた
？「もうすぐ、産まれるんだ」
その言葉を聞いた名前は大人しく足を止めた
苦しそうな母の声が聞こえる
「頑張れ！」「もう少しだ！」
そんな声を聞きながら名前は騒ぐ胸を抑え、母を見守った
そんな状態が何時間か続いたあと
大きな産声が聞こえた
迷わず母に駆け寄れば、母の腕の中には布で包まれた赤子
ル「女の子なら、…アン、男なら…エース。彼が…そう決めてた。…、この子の名は、ゴール・D・エース！」
そう言って涙を流しながら、母は赤子の額へ唇を落とす
ル「彼と、私の…子」
母は名前の頭を優しく撫でた後、赤子にしたのと同じように、名前の額へ唇を落とした
ル「…弟よ、名前」
赤子を渡された名前は、小さな腕で落とさないように、気を配りながら赤子を抱く
五歳にして、弟ができた
貴「俺の、…弟…。」
泣き続ける弟を支えきれず、母に弟を渡した
ル「エース、…名前」
母は名前の背に片腕回し抱き締めた
ル「名前、…エースを、……、お願い、ね」
はらり
昼間母の髪に挿したハイビスカスが落ちてきた
背に回っていた母の腕は力なく落ちる
落ちそうになった弟を慌てて抱えた
ベッドに沈み込んでいく母
全てがゆっくり、ゆっくりと流れていく
弟の泣き声なんて聞こえない
ただただ脳内で母の声が繰り返された
ガ「…っ！」
「ルージュ！！！」「ルージュ！しっかり！！」
貴「かあ、…さん？」
呼び掛けても返事は帰ってこない
ぼたぼたと涙が流れ、頬を伝い腕の中にいる弟の顔を更に濡らす
貴「かあ、さん…、待ってよ…、おいてかないで。
俺じゃなにもできないよ…、母さん、…母さん、待って、…俺のこと、一人にしないで、……俺も、…俺も、父さんのとこに、…いきたい、よ」
呆気なかった
昼間まで、笑ってたのに
名前って言って笑ってくれたのに
固く閉ざされた瞼が開くことはもうない
母さんは、死んだんだ
.
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yozakura - すいませんガチで泣きました(泣)良い話ですね (2020年5月1日 8時) (
レス) id: c24485d68c (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - さーちゃんさん» 読んでいただきありがとうございます！！名前変換ができるようにしているんですが…、私の端末では変換できるのですが、名前を入力してもできないですかね？(涙)教えてくださりありがとうございます！頑張ります！！ (2019年9月29日 12時) (レス) id: 9854bed933 (このIDを非表示/違反報告)
さーちゃん(プロフ) - 名前変換ができてないです。変換されてないページは､最初から最後までの話の中の"名前"を使う時全部です｡変換する場合は､かっこをつけないと変換できないです…生意気ですみません!お話は､物凄く良くて号泣しました｡とても良い作品です!更新頑張って下さい！ (2019年9月29日 11時) (レス) id: 577dc20b2d (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - ユウさん» 読んでくださり、ありがとうございます！！！そう言ってもらえて嬉しい限りです(涙)私も書きながら泣きました()ありがとうございます、頑張ります！！！ (2019年9月16日 18時) (レス) id: 9854bed933 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - めっちゃ感動しました。本気で泣きそうになりました...。こんな文章を書けるなんて凄いです！尊敬です！更新頑張ってください！！ (2019年9月16日 17時) (レス) id: ed90e02b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年9月13日 1時
