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照「そっか、台本が今は大事なもん、ってわけか(小声)」
「えっ、それは、」
体調崩してしまうほど神ちゃんを追い込めてるもの。
ってこと、
か。
照「……もんち、大丈夫。台本はあるよちゃんと。」
「……どこ、っ、」
照「おうち帰ったらあるから大丈夫。な？」
「…………おうち、かえる、っ、」
照「うん、今向かっとるよ。
もんち、ちょっと体しんどくなってるからさ、
もう1回横になっとき？」
「……ん、しんど、く、なった、」
照「うん、おやすみな、」
コロンっと俺の膝の上にまた寝転んだ神ちゃんは
一瞬にして目を閉じて。
やっぱり体は正直やなって。
やってこれ相当熱あるで。
ほんまにあっついもん
「……照史、神ちゃん寝た。
台本ホンマに家にあるん？」
照「……いや、さっき楽屋で吐いちゃった時に机に置いたまま忘れてきた。
淳太くんまだおるかな、」
「俺電話してみるわ、」
台本がなくて大騒ぎするなんて神ちゃんらしくなくて、
でもそれほど切羽詰まってるとしたら。
「……ぁ、もしもし淳太？
いまどこおる？」
『楽屋やけど、もう帰ろうとしてたとこ』
「机にさ神ちゃんの舞台の台本ない？」
『あーあるわ。俺持って帰っとくわ』
「いや、あんさぁ、もしできれば
俺ん家まで来て欲しいんやけど、」
『え、はまちゃん家？なんで』
「神ちゃんが病院行きたくあらへん言うてさ、俺ん家行くんやけど、台本がないってパニックになってしまって、
咄嗟に家帰ればあるって言ってしまってん」
『なるほど、……ほんなら行くわ。すぐつけると思う』
「ありがとう。ほんま。ほんじゃ、また」
電話を終え、携帯を伏せると
バックミラー越しに照史と目が合ったから
黙ってグーサインをすれば照史はほっとしたように頷く
「……神ちゃんなんか追い込まれてるんかなぁ」
照「せやんなぁ。台本ないと不安なんやろうな、」
少し不規則な呼吸音と熱すぎるほどの体
きっと舞台大変なのかもしらん。
それが今爆発してもうたんやろう
赤ちゃんをあやす様に優しく胸をトントン
しながら神ちゃんの顔をじーっと見て
彼の心の中を想う。
そうしてればあっという間に自分家にたどり着いた。
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作者名：きりまる | 作成日時：2022年8月31日 23時
