解体できない代物 【松田陣平】

CASE:04 萩原先輩との関係性。 ページ6

A「えぇ、まぁ…。元看護師なので、ケガで搬送されてきたりするとケアしてたんです。爆発物処理班の皆さんと、刑事部の皆さんはよく来られてましたよ。」

本当はそれだけじゃない。彼は、私の“命の恩人”だ。

兄が亡くなったあの日――。

脱出するために、自宅の２階から飛び降りた私を抱き止めてくれたのは、他の誰でもない……萩原先輩だったから。

萩原「そうねぇ…。お世話になりっぱなしだねぇ…。」

さすが萩原先輩。
私が考えながら喋っているのを察して、余計なことは言わないでいてくれる。

宮本「ねぇ、萩原隊員と実は"イイ感じ"だったりとかないの？」

A「もう！宮本先輩ったら！どうしてそう何でもかんでも恋愛話にしたがるんですか。…挨拶も済んだので、戻って仕事してますね。」

宮本「えっ、怒った？ごめんって！」

私はこれ以上揶揄(からか)われたくなくて、話を無理やり切り上げ…先輩たちから離れようと考えた。

(こんな状況じゃ聞けないじゃない、松田先輩の様子も…ちょっと"無茶なお願い"をしていいかどうかも…。でも…“爆処班(ばくしょはん)所属の彼”だからこそ、"お願いしたいこと"ではあるし…。)

いろいろ考えを巡らせてみたけど…追及されないための、良い回答(ルート)は導き出せない。
なら、いっそう開き直ろう。

A「あの、萩原先輩。」

萩原「ん？なぁに？Aちゃん。」

A「あ、あの…やっぱり何でもないです。」

私の意気地なし〜！

萩原「はは。相変わらず苦手なんだね、素直になるの。俺に何か言いたいことあるんじゃないの？…まぁ、今ここで言うのが嫌なら後で連絡くれてもいいよ？」

宮本「えぇぇ！Aちゃん、萩原隊員の連絡先知ってるの！？」

萩原「宮もっちゃん、Aちゃんのこと…あまり詮索しないであげて？誰にでも言いたくないこととか、タイミングが今じゃないって思うことあるでしょ。…ただ１つ教えてあげられることがあるとしたら、俺とAちゃんには共通の知人がいて、お互いにその人を通じて知り合ったってところかな…。」

萩原先輩……。私の代わりに言ってくれてる。

CASE:05 物騒な頼み事。→←CASE:03 “萩原先輩”と対面。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す