解体できない代物 【松田陣平】

CASE:44 ごはんの約束 ページ46

萩原「でもさ、ホントにAちゃんは陣平ちゃん大好きだよね。」

A「そうですね…はい。否定はしないです。」

本当にそうなので、ここは認めておく。

萩原「これで気づいてない陣平ちゃんもヒドイ男だなぁ…。」

A「まぁ…そこは“機械大好き松田先輩”なので、しょーがないです。いいんです、私はそれでも。…っていうか、そう言って笑ってる萩原先輩が何気に一番ヒドイですよ。」

萩原「ぐはっ！Aちゃん辛辣(しんらつ)〜！それ言われたらぐうの根も出ないじゃん！」

そんな風に言いつつ、自分の胸を掴んで苦しむリアクションを取る萩原先輩。

A「すいませーん、論破しちゃって。なにせ得意分野が理系なもので、理詰めしちゃうんですよー！」

私も笑って、わざとらしく返してみる。

――コンコン。

A・萩原「はーい。」

松田「おい、ハギ。部屋の外までハッキリ聞こえるほど騒いでんじゃねぇ、うるせぇ。……A、俺だ。入っていいか？」

A「どうぞ、松田先輩。」

松田「悪かったな、１人にして。…って言っても、ハギがいたか。」

A「いえ、とんでもないです！おかえりなさい、先輩。」

萩原「『おかえりなさい』だって。いいなぁ。陣平ちゃん、そんな風に言ってもらえて。なんか"新婚さん"みたいだよね。」

A「ちょ…ちょっと萩原先輩、なんてことを…！」

(もー！萩原先輩キライ！)

松田「ハギ、ふざけんのも大概にしろ。お前、年１とはいえAと５年間も連絡取ってて性格掴んでねぇのかよ。Aは"そういうノリ"苦手だろ、どっちかって言うと。だいたい、病み上がりの人間相手にする話じゃねぇっての。…ったく。」

松田先輩――。
さすがです、ありがとうございます。

でも……。
新婚みたいって言われて、先輩はどう思ったんだろう。

私と――。いや…でも、佐藤さんかもなぁ…。

松田「…んでよぉ、ハギ。」

萩原「ん？」

松田「さっきAと相談したんだが、飯食いに行くのまた今度にしようぜ。病み上がりだし、無理はさせられねぇからな。」

萩原「それはそうだね。…ところで、どこ行くか候補あんの？」

松田「ある。Aを連れて行きたい所がな。」

A「？？」

私は首を傾げてみせた。

萩原「お？珍しく言い切ったね、だいたい『女ウケがいいトコなんか知るか！』って言ってんのに。」

松田「うっせぇな、"会わせたい奴ら"がいるんだよ。」

A「私に"会わせたい人"…ですか？」

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