続き ページ20
普段なら早く来たエルシアや団長のテルが来ていない団員を強制的に引っ張り出してくるのだが、今日はそれが叶わなかった。
というか、団長さえもこんなギリギリの時間に此処に来るのは珍しい。
まぁ、何かしらしなければならない事が有ったのだろう。
「今日は前半は1人での練習。後半は1対1の実戦形式でやる。昨日の訓練で言った前半の訓練メニューは作って来たな」
私は作ってあるので普通だったが、何人か目を逸らす姿が目に入った。
どうやら団長もそれに気付いたらしく、はぁ、と溜め息を吐く。
「一応俺が考えたメニューも持って来たから、考えてない奴等はそれをやると良い。自分で作った方が圧倒的に楽だったという事を思い知らせてやろう」
普段からこんな感じの形式だけれど、時々全員一緒に団長が考えた訓練をする事がある。
それは凄く……本当に凄く厳しくて、次の日の朝、殆どの人が起きれなくなる。
2日連続でやらされた時には、本気で立てなくなった。
「では、訓練開始！」
出来るだけ他の団員の傍を離れ、誰も居ない所で息を吐く。
メニューを確認していた時、笑顔を浮かべたシュルクが近付いて来る。
「シュルク？」
「近くでやっても良いかな？向こうの方でやると、ちょっと視線が痛くてね」
「勿論」
若いながらも副団長になったシュルクは、頭脳では優れているのに何故か剣を扱うのが下手だ。
それ故に他の団員からじろじろと視線を向けられるのが、シュルクは嫌らしい。
自分で言うのも何だがエルシアには人が寄り付かない為、落ち着く事が出来るのだろう。
「シュルクのメニューって自分で作ったの？」
「うん。昨日部屋に帰って直ぐに考えたんだ。皆からすれば効率的では無いかも知れないけど、僕にとっては此が1番かなって思って」
シュルクから差し出された紙に視線を落とす。
見た印象は良くも悪くも無い感じ。
体力が余り無いシュルクは、体力増進を図りたいらしい。
「だったら、此処をこうすれば良いんじゃない？」
「成る程！流石エルシアだね」
「そ、そんな事無いわ……」
勝手にペンで書いてしまって申し訳無いが、喜んでくれたので良しとしよう。
其処からはお互いに干渉せず、メニューをこなしていく。
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作者名：黒洞揚羽 x他6人 | 作成日時：2020年11月29日 1時
