三十三話 また出会う ページ34
目を覚ますと先程と同じ天井が目に入る。
ティーチに捕まってからのことはよく覚えていない。
ルッチの話から、彼が私をここへ連れてきたのは確かだ。
ーール「驚いたか？俺がおまえを覚えていることに」
先程言われたばかりの言葉を思い出す。
ローは私の事を全く覚えていなかったんだ。
でも、ルッチが私を覚えているということは…
『母さんのようにはいかないのかな…私は』
ーード「A、オマエになら使いこなせるはずだ。この悪魔の実の力が」
あの日、ドフラミンゴにそう言われて手を伸ばした力。
『とりあえずここから脱出するのが先か』
考えるのは後回しにして、私は脱出経路を探した。
拘束もされていなかったのは、強力な睡眠薬を飲ませて安心したのだろう。
普通の人なら一日中ぐっすりなはずだが、私の身体は薬品が効きづらいため幸いした。
窓を開けると一気に風が部屋の中へ吹き込んだ。
窓から顔を出して外を見ると高層建物の最上階。
家や人が小さく見える。
私は深呼吸をして窓に足をかけた。
『…履くものが欲しい』
オーバーサイズの上を着ていても脚がスースーして心許ない。
でもそんなこと言ってられないので私は思い切って飛び降りた。
ーーー
『はぁ はぁ はぁ』
誤算だった。
5年も使っていなかったこの能力はもう限界の域らしい。
私は海が見えるところまで何とか歩いた。
母さんと同じ悪魔の実ーー死んだら一番後悔した時に戻ってやり直せる能力ーー
母さんも私も悪魔の実の覚醒者。
それ以上に自他共の時間を操ることが可能だ。
だがそれは自分の命の時間を代償にする。
あと何回、私の身体は耐えれるのだろうか。
ローはきっともう大丈夫だ。
私の出る幕はないだろう。
せめて…エースを助けるまで待って欲しい。
彼は死なせたくない。
砂浜に脚を取られ、私は力無く倒れ込んだ。
エースの元へ行かなきゃならないのに身体が全く動かない。
このまま死ぬのかな…ごめんね、エース。
私のことを全部知っても、それでも味方でいてくれた貴方に、私は何も返せないなんて…
私は涙を流しながら意識を手放した。
ーーー
NO side
白い砂浜に倒れている女に近づいてくる足音があった。
高身長でふかふかの帽子を被った目つきの悪い男だった。
男は女の前にしゃがみ込み彼女の顔にかかっている髪をよける。
男は女を抱き上げ、元来た道を歩き始めた。
また一筋、気を失った女の目から涙が溢れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
