十話 変なの ページ11
スモーカーside
相変わらずのへらず口に安堵しながらAをかつぎ、人気のない所へ来た。
だがAは話しもしないし、帰りもしないと言い切った。
俺はAの細い腕を片手で拘束し、顎を掴んだ。
抵抗しているのか疑いたくなるような力の弱さが、こいつが女だということを伝えてくる。
ス「じゃあ仕方ねぇな」
『え？何、分かってくれ…ッ！？』
Aの顔を上に向け、俺はキスをした。
いきなりの事で状況が飲み込めないAは身を捩って抵抗しようとするが、全く意味をなさない。
Aの小さい口を無理矢理こじ開け深いキスを繰り返す。
『やッ…んっ…』
苦しそうに俺から逃げようとする身体を捕まえ、キスを繰り返した。
しばらくしてAは気を失い、俺の方へ倒れてきた。
ス「俺の勝ちだ、A」
気絶したAを横抱きにして俺は船に向かう。
エ「おい」
ス「！？火拳！何故おまえがこんな所にいる！」
エ「そんなことはどうでもいい。Aを置いていけ」
ス「あ゛？テメェふざけた事言ってんじゃねぇよ」
俺は腕の中で眠るAに一瞬視線を落とす。
ス「忠告しといてやるが、こいつはオマエみたいな海賊に扱えるような女じゃねぇ」
エ「Aの意思はどうなるんだ？詳しくは聞いちゃいねぇが家出してきたんならそれなりの理由があるはずだ。それを他の奴が無理矢理介入するのは違うんじゃねぇのか？」
Aの意思だと？
もちろんAには幸せになってもらいたい。
だがそのためにはこいつの意思を無視しなきゃならない。
Aは幸せを望んでいない。
いつもどこか諦めている。
このままAを野放しにすれば何をしでかすかわからない。
もしAの存在が公になりでもしたら…
ーー
ス「嬢ちゃん、そこで何してんだ」
『…貴方はクザンと話してた…』
ス「スモーカーだ。嬢ちゃんの名前、教えてくれねぇか？」
『クザンから聞いてないの？』
ス「嬢ちゃんの口から直接聞きたかったからな。聞かないでおいた」
ずっと海の向こうを見つめていたAが、初めて俺の方を振り返った。
『…変なの。名前なんて誰から聞いても同じなのに』
癖のあるAの金髪が風に揺れる。
『A。スモーカーさんは私の話、クザンから聞いてないの？』
ス「少しだけな。部屋に戻るぞ、A」
『…やっぱり変だね、スモーカーさん』
ーー
初めて話したあの日のAの悲しそうな笑顔がずっと脳裏から離れなかった。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
