HERO【石川祐希】 (ページ9)

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久しぶりにおなか一杯食べて
デザートまでサービスしてもらって
大満足で店を出た。

店を出るときに店員さんに
観光スポットを教えてもらって
簡単な地図を描いてもらった。

簡単すぎる地図はなかなかわかりにくかったけど
何とか素敵な庭園にたどり着くことができた。

ゆっくり散歩していると
自然とほかの人の服が気になってくる。

あぁ、あの人は自分に似合うのを知ってるな。
あの人は着こなしが素敵。
あっちはシンプルで洗練されたコーディネート。

やっぱり私は服が好きなんだ。

仕事を忘れるために町を飛び出したのに
服のことばかり考えてしまっている。

戻らなきゃいけない。
わかってはいるけどなかなか気が進まない。

・

・

散歩して
ウィンドウショッピングを楽しんで
ジェラートを食べて
また散歩して

気が付けばすっかり夕方になっていた。

夕飯を食べたら帰ろう。

そう心に決めて近くでお店をさがす。

予約なしでディナーを食べられるお店が
なかなか見つからなくて
かなり歩き回ってやっと小さなレストランを見つけた。

すんなりとテーブルに案内されて
注文を済ませる。

近くのテーブルで若い男の人ふたりが
にぎやかに飲んでいるのが少し気になった。

聞こえてくる会話はフランス語かドイツ語か
とにかくイタリア語でも英語でもなさそうで
私には聞き取れなかった。