HERO【石川祐希】 (ページ24)

今日:2 hit、昨日:35 hit、合計:123,809 hit

024 ページ24

今頃、祐希くんは練習中だろうか
それとも試合前のミーティング中？

考え事をしながら
祐希くんに教わった道を歩くと
あっという間にスタジアムが見えてきた。

スタジアムの周りには
試合を見にきたイタリア人で賑わっていた。

そのなかにはかなり少ないが
日本人の姿も見られる。

やっぱり、彼の人気はすごいらしい。
彼女たちはイタリア在住なのか
それともわざわざ日本から来たのか。

ただでさえ身長が高い私は目立つのに
彼女たちに見つかっては
祐希くんにも迷惑をかけるので
人混みのなかを足早にスタジアムに向かった。

・

・

何度も確認されたおかげで
関係者席の入り口はすぐにわかった。

ただ、私が話すより前に
スタッフの方が日本人だと気づいてくれて
名乗るだけでスムーズに中に入ることができた。

関係者席にもそこそこイタリア人がいて
ここなら紛れられるだろうか。

・

・

程なくして選手が入場してくる。
選手達は関係者席に家族がいるのか
手を振ったりウインクしたりアピールをしている。

一番最後に入ってきた祐希くんも
こちらを見ると気づかれない程度に
小さく手を挙げて微笑んでくれた。

・

・

試合が始まってからは
「圧巻」の一言だった。

小さい頃私がやっていたバレーとは全くの別物で
ものすごいスピードでボールが飛び交う。

私は声を出すのも忘れて
試合の行方に
そして彼のプレーに見入っていた。