HERO【石川祐希】 (ページ22)

今日:3 hit、昨日:35 hit、合計:123,810 hit

022 ページ22

朝、いつもの癖で早めに目が覚めた。

勝手に洗面所をお借りして
顔を洗って身なりを整える。

まだ祐希くんは起きてこないようなので
キッチンをお借りして朝食を作ることにした。

朝食と言っても簡単に
サラダとスープと目玉焼きとパン
くらいなのだけど。

できあがった頃に寝室の方で物音がして
すごい勢いで、寝癖をつけた祐希くんが入ってきた。

「おはよう」

「……はよ、
　あー、ビビったー！」

寝癖のままの頭をさらにぐちゃぐちゃにしながら
祐希くんはその場にしゃがみこんだ。

私が泊まったのを忘れていて
不法侵入だとでも思ったのだろうか。

「ごめんね」

取り合えず謝ってみたけど
そうではないらしい。

「朝起きたらゲストルームのドアあいてるし
　中に誰もいないから
　Aちゃん勝手に帰っちゃったのかと思った」

それでこんなに慌てふためくくらい
心配してくれるなんて
彼はなんていい人なんだろう。

もう一度謝ると
祐希くんは気を取り直した様に立ち上がった。

「あれ？もしかして朝飯作ってくれたの？」

「うん、簡単なものだけど
　勝手にやっちゃってごめんね」

「いや、むしろうれしい。
　顔洗ってくる」

戻ってきた祐希くんを待って
二人で朝食を食べる。

簡単な準備だけだけど
祐希くんはおいしいおいしいと食べてくれた。