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相手の顔も見ずに
イタリア語でお礼を言いながら頭を下げる。


顔を上げて目が合うと
相手が驚いたような顔をした。



もしかして、ばれた?
せっかく仕事を忘れてたのに。


でもその人が発した言葉は
予想外のものだった。


「あの、日本人ですよね?」


日本語で話しかけられて私はうなずいた。

てっきり「モデルのハルですよね?」って
聞かれると思ってた。
なんだ、ばれてない。
途端に自惚れていた自分が恥ずかしくなった。



店員さんがやってきて注文を取る。


「ユーキ」と呼ばれたその人は
私のことを友人だと紹介した。


まだ隣の二人組がいるから
気を使ってくれて一緒にいてくれるらしい。



「もしかして、だれかと約束してました?」


「いえ、一人だったので
 本当に助かりました」


敬語でのぎこちない会話だけど
日本語で話しているから周りにはわからない。



「パドヴァにはなんで来たんですか?」


会話のなかで思いがけず現在地がわかった。
かなり遠くまで来てたんだ。


「現実逃避です」


そういうと彼は不思議そうな顔をした。


「そういえば、名前、教えてください」


しばらく話していたけど
お互いに名乗ることを忘れていた。



「AAです」

「石川祐希です、よろしく」


仕事を忘れていたせいか
自然と本名を名乗ってしまった。


ちょうどいいタイミングで
店員さんが料理を運んできた。

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設定タグ:石川祐希 , バレー , 全日本   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:Haruka. | 作成日時:2019年11月10日 20時

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