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会場に入り、とりあえず主催に挨拶をとAをエスコートしながらウザってぇ視線を躱す。
明らかに俺よりも隣のAに視線が向いてて。
それは、嫉妬や憎悪の他にも明らかに下心丸出しの親父のいやらしい視線や舐めまわす様な視線もあって反吐が出そうなのを小さな舌打ちで我慢した。
その視線の先にいる当のAは状況把握する前に、気持ち的にいっぱいいっぱいなのかそこまで気にする余裕はなさそうで。
それならそれで都合がいい。
「これはこれは櫻井社長。ご足労頂きありがとうございます。」
「いや。こちらこそ招待頂き感謝する。」
禿げて脂ぎってる親父が今回の主催で、こんな見てくれだけど経営手腕と先見の明は悪くない。
それに大企業のトップなのに腰がすこぶる低い。
『社長も見習ったらどうですか?』って潤に嫌味を言われた事もある。
だが…
「おや?こちらのお嬢様は?」
少しだけ目を見開き、パチパチと数回瞬きを繰り返す。
「これは私の妻です。」
「Aと申します。主人が日頃お世話になっております。」
そう丁寧に挨拶をして深々と頭を下げた。
そのセリフを一生懸命練習してきたAの健気さを思うと愛おしくて堪らない。
「これはびっくりだ。ご結婚されたと風の噂で聞きましたが、こんな可愛いらしいお嬢様だったとは。」
「はい。妻はまだハタチですし、可愛いくて可愛いくてどうしょもないですね。」
「ははは。あの櫻井社長が惚気ですか?そんなお話を社長の口から聞ける日が来るなんて思いもしませんでした。」
豪快に笑った禿げ親父はパンパンと俺の腕を叩く。
てか…痛ぇし…。
「でも、これだけのお嬢様だ…わからなくもない。」
ウンウンと大袈裟に頷いてる目の奥がいやらしいんだよクソジジィ。
そう…
コイツの女に対する手グセの悪さは天下一品、業界でも有名だ。
「お褒め頂き光栄です。」
「いやいやお世辞じゃない。私は心底そう思っとるよ。」
「ありがとうございます。」
お礼を言うAに伸びかけた手を、Aに触れる前にAの腰に手を回しひらりと躱す。
Aはお前みたいなヤツが触れていい女じゃねぇんだよ。
睨む様に見据えると、わかり易く震え上がりそそくさと逃げる様に退散。
「社長。程々に…。」
いつの間にか背後にいた潤にお小言を頂戴するが、軽くスルー。
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ゆーか.Ss.Kn.Ti(プロフ) - 俺様しょーちゃん素敵でした!夢主以外は冷酷な鬼社長なのに夢主には甘々な社長のギャップがとても良かったです! (2018年5月23日 11時) (レス) id: 46f7e9ba0d (このIDを非表示/違反報告)
sallysally67(プロフ) - 一気に読み漁りました。んも〜溺愛ぶりがたまらないです。甘い甘い雰囲気の中で素敵な言葉が交差するので、余韻に浸ることができて夢心地。櫻井社長の気持ち良い程の溺愛に思えるのは、しおななさんの紡ぐ言葉だからこそですね。 (2018年5月18日 9時) (レス) id: 8738f1c5dc (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - う〜ん、ここまでくるとお見事!としか言いようがない〜 めっちゃ楽しかったです (2018年5月10日 10時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
wakana2145(プロフ) - また、この小説が読めて凄く嬉しいです!!溺愛翔くんに何度読んでもにやけてしまいます!ほかの作品も楽しみしています、頑張ってください! (2018年4月25日 21時) (レス) id: 567c211a3d (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - 凄く嬉しいです、更新ありがとうございます。 (2018年4月9日 13時) (レス) id: 328b884698 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しおなな | 作成日時:2015年9月25日 11時