Episode16 深夜零時を過ぎるころ ページ20
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タクシーは夜の高速道路を海の方へと走っていた。
ビルの合間に空が開けてオレンジ色のタワーがそびえる。
その横を通り過ぎて車はさらに海へと走る。
何を話すでもなく、私たちは座っていた。
お互いに窓の外に視線を投げたまま、差し出した手だけが真ん中で重ねられていた。
遠くに都心のビル群が見える。
暗い水面に橋の明かりが映りこんでゆらゆらと揺らめいている。
潮の香りを感じるデッキまでやってくると、二宮さんは大きく深呼吸をした。
「仕事帰りにこんなとこ来たの初めてです」
久しぶりに口を開いたと思ったらそんなことを言うから、私もつい笑いながら言葉を返す。
「そうですね。…私もはじめてです……門限過ぎると分かっていてどこかに行くのは」
「……Aさん」
視線を感じたけれど、私は海を見ていた。
どこかを走っているらしい救急車かなにかのサイレンの音が耳に届く。
風が頬を撫でていく感触がやけにリアルなのは気温が高いせいかもしれない。
握られた手に力がこもる。
二宮さんの方を向けば、難しい顔をして私を見ていた。
「二宮さん、難しい顔してますね」
「いえ…ちょっと強引だったかなと」
「大丈夫ですよ。兄さんには連絡入れましたし」
「でも、鬼のように電話かかってきてましたよね？」
「あはは、そうですね」
これには私も苦笑いをするしかない。
タクシーの中で智兄さんには当然連絡を入れた。
仕事中だったからか返事が来るまでにだいぶ時間が空いたけど、ようやくチャットに目を通したらしい智兄さんから数秒の間もなく鬼のように電話がかかってきていた。
ついさっきまで。
「もう切っちゃったので、平気です」
「意外と行動力ありますよね、Aさんって」
私の冗談めかした言い方につられたのか二宮さんの口角が上がる。
ずっと黙っていたのは私を連れ出してよかったのかと悩んでいたのかもしれなかった。
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iCHiKA(プロフ) - みかぽさん» 読んでいただきありがとうございました！ご感想もいただけてとても嬉しいです。これからもきっと主人公ちゃんは彼と兄に挟まれて大変なんだと思いますが、そんな三人をこれからも愛していただけたら嬉しく思います。お付き合いありがとうございました。 (2021年1月16日 14時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - ともさん» ともさん、いつもありがとうございます！今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。兄さんとのお別れは寂しいですが、これからも二人…いえ、三人ですかね、仲良く過ごしてくれると思います。兄さんにも新たに日々があることを願って！ (2021年1月16日 14時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - しょうくんさん» コメントありがとうございます！甘々な二人を気に入っていただけたようで光栄です。また機会があれば彼らに会えたらいいなと私も思っています。ご愛読ありがとうございました。 (2021年1月16日 14時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
みかぽ(プロフ) - 楽しく読ませてもらいました！ありがとうございます！智兄さんと二宮くんに挟まれてる主人公ちゃんがをずっと見ていたいと思いました！！ (2021年1月14日 0時) (レス) id: 627aaeefd6 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 完結…お疲れ様でした。智くん担の私としてはずーっと智兄さんと仲良く暮らして欲しかった(￣▽￣;)これから智兄さんの新たな道が開けるのかな？なんて勝手に思ったりしてσ)>ω<*)ﾃﾍ (2021年1月12日 21時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年10月18日 16時
