シンデレラ・ディレクション《ars/k.n/0617》 (ページ33)

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Episode5 -5 ページ33

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来るもの拒まずがスタンスの櫻井さんはニコニコしている。

このままだと連絡先の交換と約束の取り付けにまで発展して時間がかかるかもしれない。

私は慌てて女性たちと櫻井さんの間に割り込んだ。

「すみません。すぐに会社に戻らないといけないので」

「大野、邪魔するなよ」

「邪魔してすみません。ではこれで」

「おい！」

不満そうな櫻井さんを無理やり女性から引き離す。

というかさっきデート無くなったとか言ってませんでした？その子どうするんですか。

という言葉は心の中だけにとどめておく。

お店の外に出ると松本くんがわざとらしい拍手をした。

「さすがA。前にもそうやって女追い払ってなかったか」

「いつのこと？心当たりがありすぎる」

「お前ら酷いな」

昼おごってやったのにとぶつぶつ言っている櫻井さんを無視して私はスマホに目を戻す。

「大野、戻るぞ」

「あ、はい」

櫻井さんに声を掛けられて慌てて画面に指を走らせる。

『ありがとうございます。櫻井さんにも伝えておきます』

それから一瞬だけ悩んで、

『連絡いただけて嬉しかったです。私も明日会えないのはちょっと残念です』

そんな言葉を送ってスマホを鞄に滑り込ませた。

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