シンデレラ・ディレクション《ars/k.n/0617》 (ページ14)

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Episode2 -3 ページ14

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これだから櫻井さんはずるいのだ。

基本的に仕事が出来てよく気が付いてしかも誰にでも優しい。

ちょっと軟派だけど正統派なルックスにマッチしているからかそこまで気にもならず、どうにも女の人によくモテる。

そのせいなのかは知らないけれど櫻井さんは基本的に来るもの拒まず去る者追わず、と言った感じで女性付き合いをしているようだ。

私が智兄さんに櫻井さんはないと告げる理由はここにある。

まぁ、「恋多き人なので無理」なんて智兄さんには言えないんだけど。

私もこうしてデートに誘われることは日常茶飯事だけどそれが櫻井さんのあいさつ代わりの言葉であることを知っているのでいちいち反応したりはしない。

最初のころはそれは戸惑ったけど、仕事の都合上一緒にいることが多くなってからは櫻井さんにとって女性相手の普通のコミュニケーションであることがわかってからはむしろ話しやすさすら感じている。

基本的に櫻井さんは賢くて頭の回転も速いから人との会話が上手な人なのだ。

そういえば結局櫻井さんには今恋人いるんだろうか。

はっきりとは聞き逃したけど、まぁ聞いてみたらいるって言ってたよと智兄さんには報告すればいいかな。

金曜の夜に酔っぱらいながら「櫻井さんに恋人いるのか聞いとけよ」と言っていたから一応これでいいことにしよう。

その日の始業後すぐに櫻井さんに呼ばれた私と松本くんはほかにも数人の社員と一緒に会議室にいた。

机の上には櫻井さんが作ったと思われる資料が何枚も広げられている。

「ということで、うちのシンデレラがコンシューマーに移植することになった。資料にも書いてある通り制作は先方側と合同で行われる」

櫻井さんの言葉を聞きながら私は資料に目を落とした。

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