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ペルソナ ページ38

ペルソナ総合医療センターは一年に一回、この病院に研修医、又は希望者を送ってくるようになった。

今日は鴻鳥の部下だという下屋先生が船酔い状態で、土方のおじちゃん達の軽トラで連れられて病院まで来た。

下屋先生はげっそりとしたまま、ビニール袋を抱え、医局にてダウン中。

どうやら船には慣れていないようで、その後の運転の荒いおじちゃんのおかげで酔いに酔いが合わさったらしい。

「ようこそ隠久ノ島へ!
と言いつつ、下屋せんせー船酔いなうだね。」

顔を真っ白にする下屋先生をカメラに写す。

向こうは何も言わない。
きっと迫りくる吐き気と戦おうと集中しているのだろう。

私はアイスを差し出して隣に座った。

黒い髪がバサッと顔にかかっていて、下屋先生の表情はあまり伺えない。

「あ、下屋せんせ。
自己紹介遅れたけど、私鬼嶋Aって言います。
もともとペルソナで働いてたから___」

「貴方がAさんですか?!?!鴻鳥先生から聞いてます!!お写真も見させてもらって...!!ここで帝王切開(カイザー)したって...!」


ガバッと椅子から起き上がった下屋先生。
アイスを持っている私の腕を掴むと嬉しそうにニコニコ笑って話だした。

__私の話はそんな遥か彼方まで届いているのか。


「A、有名人じゃん」

「まぁ私くらいになれば有名人ですよね。」

「調子のいい事いいやがって、」


ケラケラ〜っと笑う私たち産科医(ギネ)を交互に見る下屋先生。
私は下屋先生の顔を見て首を傾げる。


「何かおかしい?」

「いや...仲良いなぁ〜...って思いまして...」

「まぁ島だからね、逃げ場ないのに喧嘩してちゃもはや生きていけないでしょ。」

「はぁ...たしかに。」

「じゃ、院長室行きますか。」

__________________________________

私は後期研修医として経験を積む為、(Aさんを一目見る為でもある)隠久ノ島への一週間の遠征に立候補した。

四宮先生は私がいなくなって清々してるんだろうけれど、鴻鳥先生や小松さんは“気をつけてね”などと言ってくれた。


生憎海はちょい荒れですごく揺れる。

フェリーなんて乗る事ないし、ましてや予定通り小型飛行機だと思ってたから...


新婚旅行だろうか。

仲の良さそうなイチャイチャカップルも、船に揺られ始めて数分で静かになったし、

後ろの席に座っていた老夫婦はあまりに揺れる船内にもはや笑ってるし。





私の隣の老人は...






必死に拝んでるし。

下屋いっきまーす→←なんとなく



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作者名:長官 | 作成日時:2020年5月3日 17時

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