検索窓
今日:2 hit、昨日:66 hit、合計:59,679 hit

ペルソナに帰った鴻鳥 ページ15

当直室を出て研修日記を書いていると、誰もいない医局に鴻鳥先生が帰ってきた。

私は急いで駆け寄る。

前に教えてもらった島に行ってしまった好きな人の話を聞き出すためにだ。

「おかえりなさい!告白できましたか?」

「ただいま下屋。うん...してきたよ...」

「え、ダメだったんですか...?」

「かもしれない。」

そう言ってドスッと椅子に座り込んだ鴻鳥先生。
私は自分のことのように悔しくて同じように隣の椅子にドスッと腰を下ろした。

「どうしよう...」

「でもでもでも!返事はまだなんですよね?!」

「うん...そうだけど、結構向こうでいい感じだったんだよ...」

「え?誰がですか?」


下を向いてクルクル椅子を回す先生の表情がひどく子供っぽくて面白かった。

がしかし、私の好奇心と探究心と、他人の恋愛好きな体質をうずうずとさせるには不十分だった。

「院長とか、他のお医者さんと仲がすごい良くて。僕が入る枠はなかったって事だよ...察してよ」

「…ってことはライバルは隠久ノ島病院の院長とか、他の科の先生とかってことですね!じゃあ尚更燃えるじゃないですか!」

「良いんだよ下屋。仕事と私情はキッパリと分けなきゃって思ってるから。」


そう言って私の身振りを制した鴻鳥先生。

私の好みではないが、こんなイケメンに好かれる女性なのだからAさんはかなり可愛いはず。

「Aさんの写真ってあるんですか?」

「あー...あるよ。」

「私諦めちゃダメだと思うんです。
鴻鳥先生のことよくわかってくれる人、大事にしませんか?」

鴻鳥先生はスマホを見せてくれた。
その中には小柄で可愛らしい雰囲気の白衣の女性の後ろ姿が写っていた。

サッサッと右にスクロールして数枚後には、彼女の顔がしっかりとわかる写真が来て、私はついつい携帯を引ったくった。

「うぉ、この人ですかー!確かに可愛いー!」

ノリでピッともう一枚右にスクロールすると、別の先生とAさんの写真が。

「うぉ、院長カッコイイ...」


これか。鴻鳥先生の闘志を捻り潰している原因は。


「別に恋愛においてのライバルとかじゃないんだよ...下屋にわかるかな。敵わないっていうか。何事において...」

そう言って弱音を吐く鴻鳥先生を鼓舞するために、私は無断でそのツーショットの写真を削除した。

「あぁ...消しちゃったの?」

「ダメでした?」

「別にいいけど...」

物件ない→←頑張ってこい



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
67人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:長官 | 作成日時:2020年5月3日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。