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「それなら石鹸はいかがですか？
残り香は少なめですがちゃんと匂いはあるので、男性の愛用者も多いんですよ」
「わ、可愛い」
桜の花の形の石鹸は薄いピンク色でほのかな桜の香りを纏っていた。
「この小さい花びらのやつも石鹸ですか？」
「ええ、こちらは一週間くらいで使いきってしまうのでちょっとした旅行の時に持っていく人が多いですね」
「確かに調度いいサイズですね」
店主の女と会話するAはそこら辺の女と同じで、髪を短くして胸を潰してもAが女であることに変わりはないのだと改めて感じたのだった。
「では、この花びらの石鹸を3つ」
「花のやつも1つくれ」
「かしこまりました」
桜の形の石鹸を1つと花びらの石鹸を3つ袋に包む店主に金を払うと、店主はAに袋を渡した。
「お買い上げありがとうございました」
「いえ、こちらこそ」
何か言いたそうなAを連れてまた歩き出したのだが、ちょっと休憩しようと言って俺を椅子に座らせると近くの出店に飲み物を買いに行った。
「桜のお酒あったから買ってきたよ」
「おお、ありがとな！」
瓶詰めされた淡いピンク色の酒は少し甘かったが炭酸で割られていて飲みやすく、口をつける度に桜の香りを楽しめた。
Aは桜のホットチョコレートミルクという、いかにも甘そうなデザートドリンクを飲んでいた。
「はい、これシャンクスに」
先程買った桜の石鹸と花びらの石鹸の2つを渡してきたAに首を傾げると、日頃のお礼だと言われた。
「まぁ、シャンクスがお金出してくれてるから意味はあまりないんだけど」
「……ありがたくもらっておくが、これはAのだ」
花びらの石鹸を受け取り、桜の方を返すと今度はAが首を傾げた。
「使わなくても部屋に飾っておいて、たまに匂いを嗅いだりして楽しめば良いだろ？」
「……ありがとう」
「せっかくだから今日はこれを使ってみるかな」
石鹸の包みを指でさらりと撫でながら楽しそうに頷いたAの横顔を盗み見る。
Aが桜の香りを纏うのは、この島にいる間だけなんだろう。
島の人間も観光客もこの香りを纏う者が多いし、俺にも渡してきたのはきっとそういうことだ。
俺がこれを使っていればAが同じ香りを纏っていても気にならないだろう、ということなんだと思う。
もう1つの花びらの行方を聞けば、怪我させたエドガーへの詫びだと申し訳なさそうに呟いたのだった。
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ちょこ(プロフ) - kaito11さん» ありがとうございます！引き続き続編もよろしくお願い致します！ (5月6日 22時) (
レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
kaito11 - この作品大好きです！これからも更新楽しみにしています！ (4月28日 18時) (レス) @page50 id: a5ae7a5cae (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - NATSUさん» いつもありがとうございます！ (2023年4月15日 17時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
NATSU(プロフ) - 続きがとても楽しみです。 (2023年4月14日 22時) (レス) @page45 id: 01b4412dd0 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 白雪さん» 初めまして、大好きと言って頂けて本当に嬉しいです。更新の励みになりました！ (2023年2月27日 21時) (レス) @page28 id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作成日時：2022年12月18日 19時
