私のヘアメイクさん【JK】

お水運びのテヒョンくん ページ10

今日も今日とて備品のチェック。と言っても今回は届いたものを確認しているだけだ。

今日はついにきたKBSで、さまざまなアイドルたちがキラキラと眩しい姿で会場を行き来していた。


「Aヌナ、お水です」
「え？ わ、テヒョン。ありがとう」


飲まず食わずで時間が過ぎて、他グループのヘルプも終わり落ち着いた時、RJに水を持たせてかわいい声でテヒョンが声をかけてくれた。

絶対ジンさんのRJだな、と思いながら受け取って口に含む。


「倒れないでくださいね、あ、これフラグになっちゃうかな」
「あはは、大丈夫だよ。この前ゆっくり休んだし。テヒョンたちの方が倒れないようにね」


はい塩、と渡すとケラケラとテヒョンはおかしそうに笑った。常に岩塩を持ち歩いているのが面白いらしい。よくわからないけれど。


「今日の衣装も素敵だね」
「俺もそう思います！ へへ、かっこいいですよね！」


立ち上がってくるりと回って見せてくれて、かっこつけたポーズをとってくるテヒョンはかわいい。マンネラインは本当に弟みたいで、すぐに甘やかしそうになる。

楽屋では各々で好きなように過ごしているのをみるけれど、結局ちょっかいをかけたりして賑やかになるのだ。私がこの仕事を始めた時から変わらない。


「あ、やばい筆一本間違えて持ってきちゃった」
「それやばいんですか？」
「うん、結構大事。届けに行ってくる」


楽屋を飛び出して、先ほどヘルプに行った他グルのところへ向かう。友達のものだから本人にも連絡したが、既読はつかなかった。


「Aどこ行くんだ？ 開始までそんな時間ないぞ」
「道具返すの忘れてて」
「あー、そっか。気をつけて」


すれ違ったナムジュンに手を振って、バタバタと友達に筆を返し、KBSが幕を開けた。

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