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もう少しだけ目を閉じて ページ36

身体が重い。

ひどい脱力感と回らない頭で、いったい今自分がどういう状況なのかも判断できなかった。

夢か現か。そのはざまで揺蕩(たゆた)いながら、ゆっくりゆっくりとまぶたを持ち上げていく。

ぼんやりと霞む視界の中で、よく見る丸い頭が見えて、「ぐく、」と名前を呼んでしまった。


「ぬな」


幻だと思っていた男の子は、そこにたしかに存在していて、一気に目が覚めて起き上がった。

私、何してるんだ。仕事はどうして、なぜ、ジョングクが私のそばにいるの。

ジョングクは綺麗な顔を歪めたかと思うと、思い切り私のことを抱きしめた。ちらりと見えた窓の外はどっぷり日が沈んでいて、時計の針の音が静かに部屋に響いている。

温もりと力強さに胸が締め付けられて、反射で私も彼を抱きしめかえした。


「ヌナの馬鹿」
「うん、」
「どんだけ心配したと思ってるの」
「ごめんね、ありがとう」

「僕は、ヌナが笑顔で仕事をしているのが好きなんです。僕が寝癖を直したのはヌナのためですよ。もう僕にそうさせないように、ヌナは無理しないで僕たちだけのヘアメイクさんでいてください」


声が震えていた。私よりも年下だけれど、世界で活躍するアイドルの、男の子が、私のために声を震わせてくれたのだ。

顔を見てちゃんと話そうと思い、顔をそっと離す。が、


「え、」


彼の白いTシャツに、鮮やかなリップが付いていた。私じゃない女の子の、と思ったが、そうじゃない。明らかに今ついたものだ。

私、すっぴんだったはずじゃ、


「ヌナ、もう少し目を瞑ってくれませんか?」
「ジョングク、何を」
「へたくそだけど、僕もヌナに魔法をかけます」


その言葉の意味を理解して、泣きそうになったのをぐっと堪えて目を閉じた。


ジョングクはこの時だけ──私のヘアメイクさん、だ。

さあ目を開けて→←魔法をかける合図



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めぐみ(プロフ) - はぁ………とため息が出るほど、ちょっと目の奥が熱くなるような感覚を知るほどに素敵な作品でした、ありがとうございます(;;)みんなすごく心が優しくて、読んでいて私も優しい気持ちになりました。もし番外編など、浮かびましたらその時をまた楽しみにしています! (2022年3月15日 19時) (レス) @page43 id: 70e57b3fd4 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 好きー (2021年8月18日 8時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ひろさん» ありがとうございます! ラストはしりすぎたかな? とちょっと心配だったのでホッとしました( ˘ω˘ ) 続編は今のところ考えてないです( ; ; )すみません( ; ; ) 何か浮かべば番外編を書くかもなあというくらいで……コメントありがとうございました! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - じゅりさん» ありがとうございます! 私自身続編系???となってましたがなんとかおさまりまして……笑 次の作品はかわいい控えめかもしれませんが、がんばります! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - ラストの展開、キュンキュンしながら読ませていただきました!面白かったです!続編楽しみに待ってますね! (2019年12月19日 18時) (レス) id: 099739feed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよ | 作成日時:2019年12月8日 16時

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