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救世主 ページ19

甘い声、少しくぐもっていて、毎日のように聞く、それ。

ぱ、と顔をあげると、フードを被りマスクをしたジョングクが立っていた。

マスクをすいっと下におろして私に微笑んだ後、ちらりと元彼を見る。頭が追いつかなくてポカンとしていると、もう一度「ヌナ」と私の名前を呼んだ。


「この人は?」
「あ、友達、」
「そうなんですか。はじめまして」
「はじめまして……」
「ヌナ、お待たせしちゃってすみません。行きましょうか」


行くってどこに、とは聞かなかった。ジョングクが私のことを助けようとしているのが分かったから。

そんなに私は顔に出ていたのかとか色々考えてしまっていると、私の手を彼はそっと握ってくれた。
何も言わずに、微笑んで。

ぐっと押し寄せてくる感情を飲み込んで、するりと手を解いてパソコンをしまい、空いた皿を持って立ち上がった。ぱちり、と今日はじめて元彼と目があった。


「じゃあ、」
「うん、なあまた電話とか」
「私はあんたのこと本気で好きだったけど、あんたは違ったんだね」


するっと出てきた嫌味に、彼は「は?」と眉を潜めて、すぐに「あ、」と気まずそうな顔をした。私がみているアカウントで呟いたくせに、まだ何か関わろうとしてくるのって、本当に馬鹿だと思う。

都合の良い相手を探してるだけじゃんか。

ぐっとジョングクに手を握られて、店を出て手を離されて、私のマンション近くの路地まで来た。


「……ごめん、」
「いえ」
「……なんで、声かけてくれたの?」


外に出たから凍るように寒い。ふるりと身震いして少し悩んだ後、申し訳なさそうな笑みを浮かべてジョングクは言った。


「ヌナが悲しそうな顔してたから」


勝手にごめんなさい、と言われて、慌てて首を振った。

「ごめん、ありがとう」

頭を下げると、ぽふぽふと頭を撫でてくれて、ほんの少しだけ泣いてしまった。

気持ちの変化→←弱い自分



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めぐみ(プロフ) - はぁ………とため息が出るほど、ちょっと目の奥が熱くなるような感覚を知るほどに素敵な作品でした、ありがとうございます(;;)みんなすごく心が優しくて、読んでいて私も優しい気持ちになりました。もし番外編など、浮かびましたらその時をまた楽しみにしています! (2022年3月15日 19時) (レス) @page43 id: 70e57b3fd4 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 好きー (2021年8月18日 8時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ひろさん» ありがとうございます! ラストはしりすぎたかな? とちょっと心配だったのでホッとしました( ˘ω˘ ) 続編は今のところ考えてないです( ; ; )すみません( ; ; ) 何か浮かべば番外編を書くかもなあというくらいで……コメントありがとうございました! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - じゅりさん» ありがとうございます! 私自身続編系???となってましたがなんとかおさまりまして……笑 次の作品はかわいい控えめかもしれませんが、がんばります! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - ラストの展開、キュンキュンしながら読ませていただきました!面白かったです!続編楽しみに待ってますね! (2019年12月19日 18時) (レス) id: 099739feed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよ | 作成日時:2019年12月8日 16時

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