そのキスは背徳か否か ページ30
部屋にお邪魔して、1番に目に飛び込んできたのは大きな棚だった。そこにはぬいぐるみや絵が飾られていて、小さなフィギュアも可愛らしく座っている。
実家らしいテヒョンさんは、今家の人は旅行中だから気にしないでと言っててくれた。
「俺はコーラ飲むけどAちゃんココアでいい?」
「あ、はい。すみません」
「いいのいいの、今日は疲れただろうに俺が会いたくて来ちゃったから」
少し待っててと言われて、部屋の中でなんとも言えない気持ちでテヒョンさんを待つ。
会いたくて、という言葉を何度も頭の中で繰り返して、心の中でずっと響かせられるように刻み込んだ。
「お待たせー」
綺麗な柄のマグカップを二つ持ったテヒョンさんが帰ってきた。
「あれ、マグカップにコーラいれたんですか?」
「うん、このマグカップがセットになってて、せっかくだし一緒に使いたかったから! 変だけどまあいっかーって」
本当にカップルみたいだ、と勝手に思って、にやけそうになりながら「綺麗な柄ですね」と言った。
2人で並んで座って、マグカップに口をつける、テヒョンさんと2人で会うのには慣れたはずなのに、場所が変わるとこうも気持ちが変わる。
「2次試験は年明けだよね?」
「はい。高校の調査書と小論文なので、まあ全然大丈夫です」
「今日の試験の出来は?」
「心配いらないです」
「さすが」
ちゅ、と髪にキスされて、雰囲気が掴めないまま唇にキスされた。
「へへー、やっと会えたから嬉しくて」
もういっかい、と甘い声で密やかに言われてしまうと、体も脳も心も、彼の言いなりになる。麻薬のような人だ。この人が魔女だったら、どんな人間も思い通りに操れそう。
優しく撫でるようだったキスは、いつのまにか甘噛みするようなものになって。テヒョンさんの手のひらが頬にひたりと触れて、びくりと肩を揺らしてしまった。
「……なんか悪いことしてるね、俺たち」
赤い舌が先ほどまで私に触れていた彼自身の唇をぺろりと舐めて、目の前でそれを見てゾクゾクした。わるいこと、かもしれない。
「テヒョンさん、」
「んー?」
「……この前、女の人といるのを見かけました。……彼女ですか?」
私の髪を楽しそうに三つ編みしていたテヒョンさんの手が止まった。
611人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちよ(プロフ) - mochiさん» お返事遅れてすみません!テヒョンさんの不思議な魅力はいつまでも青く綺麗なのだろうなと思って書きました。細々とですが執筆は続けたいです( ˘ω˘ )ありがとうございました! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
mochi(プロフ) - 今更ながらちよさんの小説を見つけ、読ませていただきました。私もこんな青春時代を過ごせる仲間が欲しかったなぁって思いましたし、テヒョンのかっこよさが私の心をキュンキュンさせてくれました。これからも素敵なお話書き続けて欲しいです。終わってさみしい。 (2020年11月15日 20時) (レス) id: 7aaaff3998 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あきさん» 尊い高校生の青春の日々は大事にしたいなあとしみじみと思いますね……( ˘ω˘ ) (2019年11月3日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 青春したくなりました (2019年11月2日 0時) (レス) id: 93ffcf3bfd (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - BeBeさん» わあああコメントありがとうございます( ; ; )!!! 更新バシバシがんばります!! (2019年10月30日 14時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちよ | 作成日時:2019年10月18日 23時