会える人会えない人 ページ23
1週間色んなことを過ごして、すぐに会えない日々はやってきて。
テヒョンさんの声を忘れてしまいそう、なんて寂しくて会いたいというアピールをした文章を送ると、後ろから呼んで振り返れなかったら焼き肉奢って、と返ってきた。
会わないと決めたのは私なのに、私はテヒョンさんが「会う?」と言ってくれるのを待っていたのだと思う。
そうしたら私がもし会いに行っても、私が会おうと言ったわけではないしと自分のポリシーに罪悪感を抱かずに済むから。
ずるいやつだ、ひねくれたやつだ、自己中なやつだ。
「Aー、休憩にチョコ食お」
「家にないけど」
「買いに行こうよ。散歩がてらさ」
ジョングクは時々家にやってきて、私の気を紛らわせようとしてくれた。
ジョングクが来るといつもお菓子を食べてしまうから、絶対に太ったと思う。ありがたいし私も彼の提案に乗ってしまっているのだけれど。
私が甘いものを食べるとグクは満足そうに笑ってから自分も食べる。
昔は待たずに買った瞬間に袋を開けて頬張っていたのに。
こういうところに気がつくくらい昔から私たちは一緒にいるんだろうな。
「なあ、」
「うん」
「寒い、手」
「ん」
出された冷たい手に自分の手をぽふりと置くと、「うん」とグクは頷いて、そのままポケットに手を突っ込んでしまった。
距離が近くなって少し窮屈だけど、さっきまでの倍あたたかくなったから何も言わずに寄り添う。
コンビニについてチョコを買って、また手を繋ぐ。グクは手を繋いでいない方でチョコの入った袋を持って、そちらもポケットの中に突っ込んでいた。
「帰ったらあったかいゆず茶いれるね」
「やった! 早く帰ろ」
「うん」
さっきより少し手を握る力が強くなって、歩く速度も微かに早くなった。無意識なんだろうなと思うと可愛くて口角が緩む。
何も言わないでおこう、と思って視線をグクから前にうつし、私も少しだけ早く歩いていた、とき。
「……あ、」
顔が見える距離、見間違えるはずのない人がいた。
「テヒョンさん、」
綺麗な女の人と笑いあって彼はそこにいたのだった。
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ちよ(プロフ) - mochiさん» お返事遅れてすみません!テヒョンさんの不思議な魅力はいつまでも青く綺麗なのだろうなと思って書きました。細々とですが執筆は続けたいです( ˘ω˘ )ありがとうございました! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
mochi(プロフ) - 今更ながらちよさんの小説を見つけ、読ませていただきました。私もこんな青春時代を過ごせる仲間が欲しかったなぁって思いましたし、テヒョンのかっこよさが私の心をキュンキュンさせてくれました。これからも素敵なお話書き続けて欲しいです。終わってさみしい。 (2020年11月15日 20時) (レス) id: 7aaaff3998 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あきさん» 尊い高校生の青春の日々は大事にしたいなあとしみじみと思いますね……( ˘ω˘ ) (2019年11月3日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 青春したくなりました (2019年11月2日 0時) (レス) id: 93ffcf3bfd (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - BeBeさん» わあああコメントありがとうございます( ; ; )!!! 更新バシバシがんばります!! (2019年10月30日 14時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年10月18日 23時