振り向いて、ユンギ先生

開幕 ページ18

期待って、何の期待だろう。

私のことを好きかもしれない、私が1番お気に入りかもしれない、もしかしたら付き合えるかもしれない、私自身感じている「期待」の種類はわからないけれど、なにせ気分は上昇していた。


「天気良くてよかったよね」
「ね」


浮き足立った教室内で、慌てて日焼け止めを塗る子や、まだ始まってもいないのに何故か体操服が汚れている子がいて笑ってしまう。
みんなこういう行事好きだもんな。


「あ！ せんせーおはよー！」
「おはよう。早く席つけー」


ほんんんの少しだけいつもより綺麗目なアクティブスタイルのユンギ先生は、まだ目が開ききっていない。朝早くから準備をしていたのだろう。


「先生半目じゃん」
「俺朝だめ」
「ぽいわー」


伝達事項を棒読みして、みんなもそんな先生を見て笑ってしまう。
先生と生徒が仲良しってやっぱりいいな。行事を心から楽しめる。


「あー。そうだ。見ろこれ。旗」


よたよたと黒板の端までいき、ユンギ先生は旗がみんなに見えるように立ってくれた。
クラスの中で「すげー」という言葉がどこからか聞こえる。

ドキドキした。全て私が作り上げたわけでもないし、そんなに中心になったわけでもないのに、自分のことを見られているような気分で。


「すげえよな。俺絶対できねえわ。はい拍手」


パチパチと先生が軽く音を鳴らすと、クラスの子達も「ありがとー」と言いながら拍手をしてくれた。
そわそわしていると先生と目があって、私に向かって微笑んでくれて。

こういう時はリーダーにそうしなきゃいけないでしょ、と思いながらもまた「好き」と言ってしまいそうになった。


「じゃあ外並ぶぞ。ぶっ倒れない程度に頑張れよ」
「先生そこは頑張ろうだってば」
「エイエイオー」
「覇気ないんですけど」



よし、ツーショットチャレンジの始まりだ！(違う)

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