綺麗に手を上げて ページ13
体育大会まであと数日。
私は目立たずにでも楽しむタイプの人間だった。特に何もしないタイプのー……
「赤足りない!」
「まってオレンジもないんだけど!」
「オレンジ作んのも赤と黄色だもんな〜」
バタバタと忙しない放課後の教室は、絵の具の匂いで溢れかえっていた。体操服にほんの少し赤や黄色がつけて、私は筆を持っている。
そう、クラス旗だ。
学年毎に一位が決められるクラス旗は、運動部が少ないクラスだと力を入れがちなのだ。
うちのクラスはそこそこ運動ができるし、初めは旗も完成すればいいくらいの雰囲気だったのだが。
「これ間に合わねえよ、帰宅部他にいなかったっけ?」
「ねえA、ジヒョダメなの?」
「ジヒョは塾ガチ勢だから多分無理かなあ」
「あと誰だ、誰がいるかな!」
手をつければ盛り上がってしまうもので、部活が忙しくない人たちで作っていると、どんどん凝りはじめてついには優勝を目指すということになりはじめた。
思いもよらず参加することになったが、なるほど確かに割と楽しい。
大変ではあるし服も汚れるが、その分どんどん完成していく旗を見るのは楽しかった。
「おー精が出るな」
「ユンギ先生車出して!」
「担任にいきなりそれかよ」
「赤と黄色がない!」
様子を見に来てくれたユンギ先生は、みんなの圧に怯んでいたが、車出すくらいならいいよと首を縦に振ってくれた。
……え?
え?
ユンギ先生が運転する車?
「イA、絵心ないのでどんどんパシられたいです」
ピンと肘を伸ばして挙手した私を却下する子もおらず、筆をクラス旗リーダーに託してユンギ先生のもとまで駆け寄ったのだった。
体育大会は参加してなんぼだよね!
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ちよ(プロフ) - 飴さん» ありがとうございます! 穏やかでほんわりした甘いお話にしたかったので嬉しいです( ; ; )! (2020年5月5日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - ぽかぽかして心あったまるお話でした! (2020年5月3日 9時) (レス) id: a89f62ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - 岩本菜那さん» 何か新しい妄想がパッと浮かんだらここに番外編書きにきますね( ˘ω˘ )! (2019年10月3日 13時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
岩本菜那(プロフ) - 続編凄い見たいです!! (2019年9月30日 16時) (レス) id: 60aae2806b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - いさなさん» ひょえー!!!! ありがとうございますー!!!! (2019年9月30日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年9月7日 20時