振り向いて、ユンギ先生

この季節がやってきました ページ12

10月、熱中症の恐れも無くなる頃になって、体育大会の日が少しずつ近づいていた。
5月6月に移動させる学校もあるそうだが、うちは文化祭も体育大会も全て秋以降だ。


小学校から中学校、高校に上がるにつれて出なければいけない競技は減った気がする。
応援をするだけでも楽しめる年になったからだろうか。私も全然でないけれど楽しみだった。

しかも、だ。

普段から携帯を使ってはいけないのは変わらないが、カメラなら使う許可が下りるのが不思議なところ。

なんとしてもユンギ先生とツーショットを撮らねばならない。


「うちの高校やたらとイケメン多いのよね」
「みんなは忙しいかもしれないけど私はユンギ先生だけだからいける」
「ユンギ先生ギャルに人気じゃん。その中割って行けるの？」
「ワンチャンにかけようと思って」


とりあえず今年の体育大会の目標はユンギ先生とのツーショット。


「Aとジヒョ。お前ら何でるんだったっけ」


昼休みの窓ぎわでぬくぬくと日向ぼっこをしながら、ユンギ先生は眠そうに目をぼんやりさせて聞いてきた。

今までの会話が聞かれていたかもしれないって？ そんな今更。告白したらあとは怖いものなしだからな。


「私障害物競走です。あとクラスの大縄と、クラスリレー」
「私は騎馬戦で、障害物以外はAと同じです」
「ジヒョは騎馬戦か。強そうだな」
「ちょっとそれどういう意味ですか」


ジヒョと先生が話しているのを見ながら、私についての感想はないのかなとそわそわしていると、ユンギ先生が「Aは」と口を開いてくれた。


「怪我はすんなよ」
「ええっ、もうちょっと前向きなのくださいよ」
「はは、いやだってお前すぐこけそうだし」


予鈴を告げるチャイムがなる。
もたれかかっていた窓枠から離れるとユンギ先生はチョークセットを持ってふらふらと教室を出て行った。


なんか、前から思っていたけど猫みたいだ。

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