訪問者 ページ16
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「…あんた誰?」
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黒いシャツと黒いズボン。
黒い帽子を深く被り、おまけにサングラスをして、
怪しさ満点のその人。
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私の方こそ、誰?って聞きたかった。
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「何で女がここにいんの…?」
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不謹慎なもの見るように、この世の物とは思えない
冷たい声が頭上から降ってくる。
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「まさか…知念の彼女…?」
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今度は知念さんに振り向き、
真っ青な顔をして、尋ねる。
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侑李「違うよ?」
「は?」
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でも知念さんはアッサリと否定し。
その人は口をパクパクさせた後、
光のような速さで私の知念さんの間に入ってきた。
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「おまっ…じゃあ誰だよ!」
「あ、わ、私は…」
「大丈夫か知念!何もされてない!?」
「な、何もしてないです!」
「あんたに聞いてんじゃねぇわ!」
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早口で捲し立てるその人は、知念さんには
まるで小さな子を見るように優しく。
私には、嫌悪感丸出しの顔で
私と知念さんを交互に見る。
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これは…かなりまずい。
言い訳しようにも、何かを発することすら許されないし
私、思いっきり不審者に思われてる…
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侑李「……リョウスケ。
その人は、僕のマネージャー。」
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そんなとき。
ポツリと小さな声が落ちてきて、
その人の声はピタリと止んだ。
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「は、マネージャー…?」
侑李「うん。」
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期間限定だけどね。
そう付け加える知念さんに、その人は安心したように
膝からがくりと崩れ落ちた。
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「なんだよ、マネージャーかよ!」
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サングラスの奥で知念さんを睨み上げるその人は
そのまま床で胡座をかいて帽子とサングラスを一気に外した。
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「え…」
「なら最初から言えよ!」
侑李「いや、言う暇さえ与えてくれなかったじゃん。」
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二人の会話に全く入れない私は、すっかり蚊帳の外。
それでも私は、驚きを隠せなかった。
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だって、さっきまで私のことを
一方的に疑っていたその人は。
今、知念さんと対等的に話してるその人は、
人気歌手の…
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「Ryosukeだ…」
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Ahr(プロフ) - 本当にめちゃくちゃ感動しました…!!素敵なお話ありがとうございます^ ^ (2022年7月5日 22時) (レス) @page49 id: bfc2ddf8fe (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - まーさん» 初コメントありがとうございます!感動してくださってこちらこそ嬉しいです(;_;)素敵なコメントありがとうございます! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - はるかさん» こちらこそ、今年もお付き合いいただきありがとうございます!来年、、時間作ればまた作らせていただきます( ´ ▽ ` )ノ (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - いくさん» こちらこそコメントありがとうございます \(( °ω° ))/ このお話で感動してくださったようで嬉しいです! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初コメント失礼します。描写が具体的で、すっごく引き込まれました!でも、最後に近づくにつれて涙が込み上げて来て、、、 面白かったし、めっちゃ泣きました!ほんとうに、良い作品、ありがとうございます! (2021年12月3日 17時) (レス) @page45 id: 2c3bd810a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2021年11月21日 7時