桜色の薔薇は永遠に【紫×緑】 (ページ8)

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紫

紫「ほな、ここで先生の恋バナでもしよか！」

授業もあと10分で終了。
そんな時に変なこと急に言えば、
真面目にノートを取ってた生徒たちが
は？と顔を上げる。
でもその顔には、はっきり
好奇心が張り付いてんねん。

一人、真ん中の席より少し後ろの
神山を見れば、驚いたような、困ったような、
辛そうな表情を必死でしないように
頑張ってた。

そういうとこ、年下らしくて可愛い。

紫「今日は、10月11日！
何の日が分かるやつおるか？」
「ウィンクの日？」
紫「あ、そうなん？」

クラスからクスクスと笑いが漏れる。
おっ、ええ感じ。
授業中特有の緊張は解れてる。

紫「ちゃうちゃう、
先生が言うてんのはそれやない。
今日、10月11日はカミングアウトデーです。
ということで先生言いますわ。
俺はゲイです。」

一瞬の沈黙。そして微かにどよめく。

紫「ほんで先生には好きな人がいます。」
「だれー？」

飛んでくる声を援護するように、
みんなの好奇心がこっちを向いてる。

紫「それは言われへんなぁ。秘密や秘密。」
「付き合ってるん？」
紫「いや。」
「告白したー？」
紫「してない。ってか出来ひん。」
「なんで？」
紫「大人の都合や。」

そ、大人の勝手な都合。
神山を傷つけてるのは分かってる。

「どんな人なん？」

真面目な授業が急に恋バナに変わったで、
みんな食い付く食い付く。

紫「んー、真面目で、熱い。ほんで
世話好きで、お人好しで、
めっちゃ可愛い。女装がバリ似合う。
なんかいろんなセンスっちゅうの？
持ってて、音楽にしても運動にしても
おしゃれにしても。あとはー、」
「なんで生徒に惚気聞いてもらってんねん！」

的確なツッコミに、クラスが笑う。
神山は、笑えてない。