吸血鬼が6人 ページ7
No side〜
地面に倒れこんだAを数秒見つめる"黒髪"の吸血鬼。
牙には真っ赤な血が付いており、それは本当に彼が吸血鬼なのだと言うことを物語っていた。
空には豪快な星。辺りには太く立派な木々。レンガでできた道にはオレンジのランタンが掛けられていた。
"落ち着く空間"その言葉がピッタリ合う。
恐ろしい吸血鬼とはかけ離れた、美しい森だ。
「ん…良いしょっと」
彼は口元に付いた血をマントで拭き取るとAを姫抱きにしある場所へと歩き始めた。
しばらく歩くと前方に三つに分かれた道。
黒髪の吸血鬼は迷う事なく左へ足を運ぶ。
「…ちょっと吸い過ぎちゃったかな」
シンとした森に低い声が響き渡る。
彼の腕の中で静かに眠る小さな彼女の顔色は青白かった。血が足りてなく、浅い呼吸を繰り返す。
「本当は、こんな手荒な真似したくないの。でも…お前は"あれ"を見ちゃったから……帰すわけにはいかないんだよ」
ポツリ、ポツリ、とAに語り掛けるように話す彼の後ろ姿は自分の子に話しかける親にそっくりだった。
…内容以外は、ね。
黒髪の吸血鬼はクスりと笑うと
"血、ご馳走様でした"
と付け足し、眠る彼女にキスを落とした。
このキスの意味は彼以外知る者はいない。
いつの間にか見え始めていた巨大な館。
赤、黒、茶色を中心としていて、どこか独特な雰囲気を放っている。
彼は背の高い門を開けるとズカズカ中へ入って行き、暗いドアの向こう側へと消えていった。
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留空-るぞら-(プロフ) - リルさん» コメありがとうございます!神だなんて私にはもったいない言葉ですよ(笑)自信を持って、お互い頑張りましょう! (2018年6月14日 5時) (レス) id: 812462b112 (このIDを非表示/違反報告)
リル(プロフ) - 初投稿でこのクオリティ・・・神としか言いようがない!私も最近占ツク投稿始めたんですけど、全然駄目駄目です………。 (2018年6月9日 21時) (レス) id: 2e93d67cbd (このIDを非表示/違反報告)
猫崎 炉斗(プロフ) - ナモカさん» コメありがとうございます!分かります!私も耐えられません 笑 (2018年5月1日 12時) (レス) id: 812462b112 (このIDを非表示/違反報告)
ナモカ - 吸血鬼と生活、我は無理!死ぬ。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 06929f16b1 (このIDを非表示/違反報告)
猫崎よと(プロフ) - 彩加さん» コメありがとうございます!雰囲気が好きだなんて…嬉しい限りです!頑張らせていただきます! (2018年2月27日 2時) (レス) id: 812462b112 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:留空 x他2人 | 作成日時:2017年11月30日 6時